2014年08月29日

中小・NPOの資金調達支援施策

「中小・NPOの資金調達支援」(日本経済新聞2014.8.27)

(記事一部引用)
 財務省は日本政策金融公庫を通じて、中小企業やNPO法人の資金調達の支援を強化する。2015年度予算の概算要求に関連費用として1083億円を盛り込む。前年度の当初予算に比べ51.7%増える。地方の雇用の受け皿をつくり地域活性化につなげる考えだ。
 日本政策金融公庫は来年度にも再保険業務の対象に、NPO法人向けに融資した金融機関を加える。
(引用終わり)


財務省プレスリリースによれば、平成27年度一般会計予算概算要求のうち920億円を「新しい日本のための優先課題推進枠」に係る要望とし、そのうちの519億円が記事の内容にあたるようです(記事のいう1083億円は、中小企業対策費全体)。具体的には、「創業等に係る信用保険事業の財務基盤強化経費(日本政策金融公庫出資金)」という項目で、「日本再興戦略(改訂2014)に基づき、日本政策金融公庫(信用保険業務)の財務基盤を強化し、中小企業・小規模事業者の起業・創業に係る事業資金の融通を円滑化するほか、NPO法人を信用保険の対象に追加するための出資金」とされています。

要するに、国の一般会計予算から日本政策金融公庫に519億円を追加出資し、財務基盤が強化されてリスクをとりやすくなった同公庫が、中小企業・小規模事業者の起業・創業資金やNPO法人向け融資の信用保険引受けを拡大するということが狙いのようですが、施策の手法としては特に真新しいものではないといえます。

なお、「新しい日本のための優先課題推進枠」920億円は、上記519億円のほかは、
有償資金協力事業(国際協力機構有償資金協力部門出資金) 375億円
国際貿易円滑化促進事業(アジア開発銀行等拠出金) 2億円
創業融資制度強化経費(日本政策金融公庫補給金) 9億円
社会悪物品等の水際取締り強化及び出入国旅客・輸出入貨物通関円滑化推進経費(税関) 15億円
となっています。

posted by kinyu-bengoshi at 18:41| 日記

2014年08月25日

中小企業非親族への事業承継円滑化

「中小の事業継承、円滑に 非親族にも譲りやすく法改正へ」(日本経済新聞2014.8.15)

(記事一部引用)
 政府は、中小・零細企業が後継者を見つけやすくなるよう後押しする。親族ではない従業員が事業を引き継ぐ例が増えているため、親族以外に対しても会社の株式を時価より安く譲れるよう法改正する。株式を譲る際にかかる贈与税の優遇対象も広げる。後継者難で廃業する中小企業を減らし、地域の雇用や技術力が失われるのを防ぐ。
(引用終わり)


親族ではない従業員への事業承継をしやすくするため、中小企業経営承継円滑化法の改正を目指すようです。
同法は、中小企業・小規模事業者の事業承継の円滑化を目的として、平成20年5月9日に国会において可決・成立、同年10月1日施行し、その内容は、@遺留分に関する民法の特例、A事業承継時の金融支援措置、B事業承継税制から成っています。

もっとも、同法は、その手続きが煩雑である割に得られる効果が限られているなどとして利用は伸び悩んでおり、その利用実績は、平成26年3月末時点で、@遺留分に関する民法の特例は70件、A事業承継時の金融支援措置は85件、B事業承継税制は846件となっています。

株式移転の際の税金の問題も確かにありますが、事業承継の最大のネックはやはり保証とみられるところです。

平成26年2月から開始した「経営者保証に関するガイドライン」の利用実績があまり上がっていないようですが、こちらがより本質的な問題といえそうです。
posted by kinyu-bengoshi at 17:09| 日記

2014年06月17日

官民ファンド向け財務省監査

「産業革新機構、投資先の監査未実施も 改善求める」(日本経済新聞2014.6.16)

(記事引用)
 財務省は16日、産業革新機構の運営体制を調査したと発表した。投資先企業の売り上げが計画を大きく下回っていても、監査を実施していない事例があった。財務省は7月上旬までに改善策を提出するように求める。
 同省が官民ファンドを調べるのは初めて。昨年9月につくった官民ファンドの運用指針を参考に、投資先の決定過程や監査体制を調べた。
 調査によると、革新機構の内部規定は投資先の売り上げが計画より7割下回ると、社内に専門の監査組織を立ち上げて経営状況を細かく把握するよう定めている。しかし実際には組織をつくっていない例があった。
 財務省は革新機構が投資先企業の株式売却を進めていった場合、人員配置の見直しが必要になる可能性も指摘した。投資先の財務状況の改善を助言したり、株式売却を担当したりする人員を増やすように要請した。投資先を収益性や投資目的などの項目で明確に分類することも求めた。
 財務省は農林漁業成長産業化支援機構など他の官民ファンドについても、投資案件が増えるなどで必要と判断した時期に運営体制を調査する方針だ。
(引用終わり)


財務省の公表資料(「財政融資資金等の実地監査について」平成26年6月16日財務省理財局)によれば、財務省は、産業革新機構(2012年度末財投残高2660億円、2012年度経常損失95億円)に対する、官民ファンドとして初の実地監査を行ったとのことです。

同資料において、「改善・検討を求めた主な事項」としていくつかの指摘事項が記載されていますが、特に目を引くのが、

「(国への適時適切な報告態勢)個別支援先の事業化に向けた活動が困難となり、休止する方針を機構が了承した案件について、出資者たる国へ報告を行っていない状況。今後、国からの求めがなくとも適切に報告がなされるよう改善を求める。」

「(モニタリング態勢)支援先の経営状況が内部規程で定める水準まで悪化しているにもかかわらず、組織的な検討がなされていない案件を確認。今後は、EV投資案件やEXITに向かう案件の増加が見込まれるため、新たに開始した戦略的LP投資に対応した見直しを含め、モニタリング態勢の強化を図ること。」

との指摘で、機構が成長革新企業と判断して巨額の実質国費を投じた投資先企業がいつのまにか事業休止していたり、それを国に報告すらしていないなど、驚くべき実態の一端が明らかにされており、勝手に投資リスクを負担させられている国民としては看過できないものといえそうです。

その他の指摘事項も、実質公的資金を預かって適切に運用すべき国の機関として許されないレベルのいい加減さを示しているといえそうです。

最終的な責任を誰がどのように取るのか注目されるところです。
posted by kinyu-bengoshi at 16:55| 日記
リンク集