2013年12月13日

セーフティネット保証特例廃止

「中小向け融資、保証縮小 政府がリーマン後の特例廃止」(日本経済新聞2013.12.12)

(記事一部引用)
 政府は経営不振の中小企業向け融資の100%保証の対象を2014年から縮小する方針だ。08年秋のリーマン・ショック後に特例として緩めた保証条件をリーマン以前の水準に戻す。中小企業向けの危機対応の融資を平時モードに戻し、企業に必要な経営改革を促す。
(引用終わり)


記事の保証制度は、いわゆる「セーフティネット保証5号」(中小企業信用保険法2条5項5号)で、信用保証協会が中小企業の借入額の100%を保証するというものです。保証限度額は、一般保証とは別枠で、無担保8千万円、最大で2億8千万円、保証料率は0.7〜1.0%(保証協会所定の料率)とされています。

対象者は、業況の悪化している業種(※1)に属する事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者、とされています。

※1: 過去の業況に比して直近の業況が悪化している業種を指定(現在642業種)。原則全業種指定の取扱については、平成23年3月末をもって終了する旨を同年1月28日に公表したが、その後、東日本大震災が発生したことから、緊急避難的に原則全業種指定の運用を継続。平成24年11月1日以降は、本件について実施した業況調査の結果を受けて、業況が改善した業種については指定業種から外す。なお、ソフトランディング措置として、現在の基準(最近月の売上高等が前年同月比5%以上減少等)に加え、一層緩和した基準(最近月の売上高等がリーマンショック前(4年前)比5%以上減少等)を適用。

認定基準は、指定業種に属する事業を行う中小企業者であって、以下のいずれかの基準を満たすこと(※2)、とされています。
(イ)最近3か月間の売上高等が前年同期の売上高等に比して5%以上減少していること。
(ロ)原油価格の上昇により、製品等に係る売上原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、物の販売又は役務の提供の価格(加工賃を含む。)の引上げが著しく困難であるため、最近3か月間の売上高に占める原油等の仕入価格の割合が、前年同期の売上高に占める原油等の仕入れ価格の割合を上回っていること。
(ハ)円高の影響により、原則として最近1か月間の売上高等が前年同月に比して10%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して10%以上減少することが見込まれること(※3,※4)。

※2: 平成24年11月1日以降の業種指定にあたっては、※1にあるとおり、それまでの業種指定基準を一層緩和した基準(最近月の売上高等がリーマンショック前(4年前)比5%以上減少等)を適用したが、平成24年11月1日以降の市区町村における認定においては、4年前の売上高等と比較する基準は適用せず、上記2.のとおり、最近3か月の前年同期の売上高等と比較する基準を引き続き適用する。
※3: 最近2か月の売上高等の実績値とその翌月を含む3か月間の見込み値で認定申請することも可能。
※4: 売上高等の減少が円高によるものであることを具体的に記述した書面(理由書)が必要。

記事によると、今回廃止される特例は、上記※1の、業種指定に際し売上高減少の比較時点をリーマンショック前とすることも認めるソフトランディング措置のようで、これにより指定業種は現在の642業種から200業種程度まで減る見通しのようです。

100%保証では金融機関は貸し倒れリスクを全く負わないので、債務者の信用力がなくても安易な融資が行われやすく、不良債権が膨れ上がるという副作用があります。貸し倒れ損失は保証協会が負担し、ひいては国民負担に帰するということですから、どこかで歯止めをかけなければならないものといえ、それが今回の見直しといえます。

特例廃止により100%保証でなくなると、原則通り、保証割合は80%となるとみられ、それまでゼロだった貸し倒れリスクを20%とはいえ負担することになる金融機関は、これまで通りには保証協会保証付貸付を行うことはできず、借り手中小企業への影響は少なくないものとみられます。

そのため、激変緩和措置として代替の融資制度の新設も行うようです。
posted by kinyu-bengoshi at 13:18| 日記
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