2013年09月04日

電子債権ファイナンス

「広島銀、電子債権を資金化 中小に迅速融資、買い取り制度も」(日本経済新聞2013.8.30)

(記事一部引用)
 広島銀行は普及が進む電子債権を生かし、取引先の中小企業の資金調達手段を広げる。不動産などがなくても電子債権を担保に融資に応じるほか、電子債権の買い取り専門会社と金融機関では初めて提携し、企業が売掛債権などを資金化しやすい体制を整えた。使い勝手を良くして2月に本格始動した電子債権の利用を取引先に促し、新たな資金需要も掘り起こす。
 電子債権による多様な資金調達手段の提供は全国の地銀でも珍しい。
(引用終わり)


広島銀行が、他の銀行に先駆けて、電子債権を引き当てとするファイナンスを開始したようです。
同行プレスリリースによれば、「でんさいABL」「でんさいアセットファイナンス」「でんさいファクタリング」の3サービスで、ABLが電子債権担保融資、後の2者は電子債権買い取りのようです。

電子債権(電子記録債権)とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、既存の指名債権・手形債権などとは異なる新たな金銭債権で、平成20年12月施行の電子記録債権法によって新たに認められたものです。

売買代金債権(売掛金)は、当事者間の売買の合意のみで発生します(民法555条)。
従来の債権譲渡担保融資や債権買取型のファイナンスは、こうして発生した売買代金債権を債権者(売買の売り手)から譲渡され、その対価たる金銭を交付する形で行われてきました。
この場合、ファイナンス提供者(銀行等)が債権譲渡(担保)により自らが債権者となったことを債務者(売買の買い手)に主張するためには、もとの債権者(売買の売り手)からの債権譲渡した旨の債務者に対する通知か、動産・債権譲渡特例法に基づく債権譲渡登記をした場合には、債務者に対する登記事項証明書の交付が必要で(民法467条1項、特例法4条2項。債権譲渡の債務者対抗要件)、使い勝手に難がありました。二重譲渡のリスクもあります。
そのため、中小企業向けファイナンスの手法としてこれまでなかなか本格的に活用されてきませんでした。

電子記録債権は、通常の債権と異なり、債権譲渡は記録原簿への電子記録が要件となりますので、二重譲渡がなくなります(後の債権譲渡は、電子記録できない以上、起こりえない)。また、債権の帰属は電子記録のみによって決まり、債務者もこれを確認できることから、債務者対抗要件としての債権譲渡通知等も不要とされています。

このように、電子債権は、従来の債権譲渡ファイナンスの障害となっていた点を解消しているといえ、中小企業の新たな資金調達手法として本格的に活用されることが期待されるといえます。

「中国銀、電子債権を直接買い取り」(日本経済新聞2013.9.3)との報道もありましたとおり、今後もこれに追随する動きが出てくるとみられます。

債権譲渡については、弊事務所HPのQ&A 金融機関取引の基本 融資編Q8Q12も適宜ご参照ください。
posted by kinyu-bengoshi at 22:18| 日記
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