2013年04月12日

アベノミクス円安による為替デリバ評価益

「遠藤照明、デリバティブで特別利益23億円 13年3月期」(日本経済新聞2013.4.11)

(記事一部引用)
 遠藤照明は11日、2013年3月期の特別損失に円安が進んだことに伴うデリバティブ(金融派生商品)の評価益として、23億8400万円の特別利益を計上する見通しだと発表した。同社は中国やタイの工場からの輸入が多く、円安リスクを回避するために、2009年ごろに1ドル=90円などで為替予約を結んでいた。
(引用終わり)


アベノミクスによる急激な円安効果により、通貨オプション、クーポンスワップなど為替デリバティブを導入している企業が2013年3月期決算で評価益を計上するに至っているようです。
上記会社の有価証券報告書(2012年3月期)によれば、導入している為替デリバティブは、米ドルとユーロの通貨オプション(外貨プットオプションの売建も計上されておりいわゆるゼロコストオプションとみられ、契約額からみて2倍レバレッジ特約付きと推測されます)及び米ドル、ユーロ、タイバーツとの通貨スワップのようです。また、各デリバティブの契約期間1年超の残高からみて残存期間3~5年はありそうなので、2009年導入時は契約期間7~10年程度の長期契約であったものと推測されます。2012年3月末時点(連結)でこれら為替デリバティブの評価損約22億円を計上しており、プットオプションの売り、レバレッジ特約、長期契約(これらの契約内容はあくまで推測です)という為替デリバティブのハイリスク性がもろに顕在化していたといえます。
同社プレスリリースによれば2013年3月期決算で23億円もの巨額の特別利益を計上する見通しのようですが、これまでの上記デリバティブ評価損22億円をようやく打ち消すというものであり、為替デリバティブはえらい儲かるとか輸入企業の円安リスクヘッジに役立っているなどという誤った評価につながらないよう注意する必要があるといえます(円安リスクヘッジについては、当期だけをみればそのようにも見えますが、それ以前は逆に円高メリットをデリバが減殺してしまい享受できていなかったとみられます)。
財務基盤が強固な同社であったからこれまで超円高下の為替デリバティブ巨額損失に耐えられたといえますが、そうでない中小企業には到底耐えられない負担であり、それまでに倒産するか中途解約していることが多いと思いますので、現下の円安効果による為替デリバ評価益を享受できている中小企業はそう多くないように思われます。

為替デリバティブの仕組みやリスクなどについては、弊事務所HPの為替デリバティブQ&A 金融機関取引の基本 デリバティブ編に詳しく説明しておりますので適宜ご参照ください。
posted by kinyu-bengoshi at 10:19| 日記
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