2013年03月02日

民法改正中間試案(個人保証)

「契約ルール、中小に配慮 民法改正試案 個人保証、経営者に限定 約款・法定利率も見直し」(日本経済新聞2013.2.27)
「法定利率下げ、変動制に 法制審試案 民法改正15年にも 約款の不当条項無効」(日本経済新聞2013.2.18)

民法の契約ルールの見直しを進めてきた法制審議会の部会が2月26日、法改正の中間試案を決めたとのことです。銀行などが中小企業に融資する場合に求める個人保証について経営者以外は認めないなど中小企業保護に配慮したのが特徴の一つであるとしています。消費者契約の透明性向上や法定利率の見直しも盛り込んでおり、実現すれば幅広い取引に影響がありそうだと指摘しています。


ここではまず、個人保証の点についてみてみます。
現行民法では、債務保証は債権者と保証人の間の保証契約によって成立し、これを書面でする限り、原則として有効です(民法446条)。
今回の改正中間試案ではこれについて、
「保証人保護の方策の拡充
(1) 個人保証の制限
次に掲げる保証契約は,保証人が主たる債務者の[いわゆる経営者]であるものを除き,無効とするかどうかについて,引き続き検討する。
ア 主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(貸金等債務)が含まれる根保証契約であって,保証人が個人であるもの
イ 債務者が事業者である貸金等債務を主たる債務とする保証契約であって,保証人が個人であるもの」
としています(法務省HP「民法(債権関係)の改正に関する中間試案(案)」)。
つまり、事業者が融資を受ける際に経営者以外の第三者が個人保証をしても保証契約は無効となるということになるようです(上記イ)。

私人間の取引を当事者間の自由意思に委ねている民法の大原則(私的自治の原則、契約自由の原則)を弱者保護の観点から修正するもので、これまでも労働法、借地借家法、消費者契約法などのいわゆる特別法で手当てされることはありましたが、民法本体でとなるとかなりのインパクトといえそうです。
もっとも、通常の金融機関がする企業融資において、経営者以外の第三者個人保証人を徴しているケースは現時点でもそれほど多くないように思われます。金融機関の企業融資で個人保証人を徴するのは、個人保証人の資力をあてにするというよりも、経営に責任を持ってもらうという意味の方が中心であり、経営に無関係な第三者を個人保証人に徴する場面は限られるとみられます。
やはり中小企業融資における個人保証人は経営者であることが圧倒的ですので、経営者を例外とすると、民法の大原則を修正するインパクトに見合うほどの効果が得られないという可能性もありえます。そもそも「経営者」の定義をどのように定めるのかもこれから議論されていくのだと思います。
また、経営者を例外とするとはいえ個人保証の一律無効化により、保証協会などの機関保証がその役割を担う部分が大きくなっていくことになると思いますが、これらの保証機関がその求償権を保全するために個人保証人を徴するケースがあり、こうしたケースも規制するのでなければ、せっかくの大改正も水漏れを生じることになりえます。
これらの点は審議会部会においても議論されているところと思いますが、最終的にどのような条項となって示されるのか注目されます。

なお、保証については、弊事務所HPのQ&A金融機関取引の基本 保証編も適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 14:49| 日記
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