2013年02月06日

【金融円滑化法】動産・売掛金担保評価新基準

「動産・売掛金の担保評価、不動産と同等以上に 金融庁が新基準」(日本経済新聞WEB刊2013.2.5)

金融庁は5日、企業が保有する在庫などの動産や売掛金を担保とする融資を増やすため、金融機関が不動産と同等以上の評価ができるよう資産査定の基準を見直すと発表したようです。今年3月末に中小企業金融円滑化法が期限切れとなるため、不動産以外の担保で中小企業が資金を調達しやすくするためで、具体的には、3月中に金融検査マニュアルを見直し、動産は不動産と同じ70%、回収しやすい売掛金は80%と明記するようとのことです。


在庫などの動産や売掛金を担保とする融資手法は、ABL(Asset Based Lending)と呼ばれています。金融機関融資の主流である不動産担保融資に対するもので、担保となる不動産を所有していない中小企業でも資金調達がしやすいよう比較的最近開発された融資手法です。特に、金融円滑化法の適用による返済猶予を受け、経営改善や事業再生を必要とする中小企業ほど担保余力ある不動産がなくABLによる資金調達のニーズが高いといえます。金融庁も金融円滑化法終了後の出口戦略の1つとして、資本性借入金とともにABLの活用を促しています。
他方、金融庁も「ABL(動産・売掛金担保融資)の積極的活用について」(金融庁HP2013.2.5)で指摘するとおり、我が国企業の保有資産のうち在庫・売掛金は合わせて297兆円と土地186兆円を上回るのに、地域金融機関の融資の担保の9割超が不動産担保であるなど、ABLはあまり普及していないといえます。
金融機関側からみて、日々流動する在庫や売掛金を的確に担保管理することや換価処分の難しさなどがABLがなかなか普及していない理由といえます。
そうした中で今回金融庁は、金融検査マニュアルや同マニュアルのFAQを改定することによりABLの活用を後押ししようとしています。具体的には、在庫・売掛金担保がいわゆる一般担保として扱われるための要件の明確化、自己査定基準における担保掛目の明確化(動産は70%、売掛金は80%)、ABLにより貸出条件緩和債権に該当しない場合の明確化、などです。これらの措置は、ABL融資債権の債権分類や引当における予測可能性を高め、金融機関がABLに積極的に取り組みやすい環境を整備するものといえます(金融検査マニュアル、自己査定、貸出条件緩和債権、債権分類、引当などについては、弊事務所HPの金融検査マニュアル・自己査定で説明しておりますので適宜ご参照いただければと思います)。
もっとも、上記のような担保管理や換価処分の難しさの点についてはこれまでと変わるものではありませんので、結局は金融機関自身の取り組み方にかかってくるところが大きいといえます。

なお、金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 18:38| 日記
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