2012年12月08日

為替デリバで業務改善命令

「北陸銀に業務改善命令 金融庁」(日本経済新聞2012.12.8)

金融庁は7日、ほくほくフィナンシャルグループ傘下の北陸銀行に対し、為替デリバティブを販売する際の法令順守体制に問題があったとして業務改善命令を出したとのことです。具体的には、社内用の書類で顧客の署名判を不正に複製するなどしていたとのことです。明確な法令違反はなかったが、判明後も経営陣が適切な調査を指示しなかったことを重くみて、来年1月11日までに改善計画を提出するよう求めたようです。


金融庁の報道発表資料によれば、書類の不正処理の具体的内容については、「当行においては、デリバティブ商品の販売業務におけるリスク管理強化のため、当行独自の取組みとして、事前に顧客の貿易取引状況等の把握に資する目的で「為替リスクの保有状況に関するヒアリングシート」等の補助的な内部資料を作成することとしていた。しかし、当初の目的に反し、当該ヒアリングシート等について、多くの店舗で、多くの行員が、長期間にわたり、行内規則を逸脱した事務取扱を行っていること。」とのみしており、記事にあるような「顧客の署名判を不正に複製」とまでは明記していません。
実際のところどうなのかはわかりませんが、もし記事にあるとおりだとすれば、文書の性質次第では私文書偽造にも該当しかねない行為であり、相当重大といえます。

為替デリバティブ処理のための金融ADR手続などにおいて、銀行側は、顧客企業から外貨実需をヒアリングする等によりヘッジニーズを確認したうえで勧誘・販売した、したがって適合性原則違反や説明義務違反などの違法性や過失はない、などという反論をし、それに沿った証拠書類を提出します
金融庁はこの書類について「ヒアリングシート」等としているので、銀行があくまで内部的に作成した書類のように読めますが、そうだとすると、もし仮に記事が指摘する通りそこに顧客の署名判があるとすれば不自然さが否めません。もし記事の通り「顧客の署名判を不正に複製」したのだとすれば、顧客企業が銀行に提出した体裁をとった「外貨実需についての確認書」のような書類を銀行員が偽造したと見るのが自然になってきます。

中小企業の為替デリバティブがこれほど大きな問題となり、銀行側は当時の勧誘・販売姿勢を厳しく問われているところ、本件のような行為は適切な紛争解決を妨げ、顧客企業を二重に苦しめることになるものであり、到底許されるものではないといえます。

為替デリバティブについては、弊事務所HPの為替デリバティブQ&A 金融機関取引の基本 デリバティブ編にて詳しく説明しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 23:39| 日記
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