2012年12月04日

メガソーラー債

「広島で計画のメガソーラー 債券で資金調達 国内初、建設費に6億円」(日本経済新聞2012.12.3)

広島県東広島市で計画中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)が、国内では初めて、生保など機関投資家向けに債券を発行して資金調達する方式で建設されるとのことです。
対象となるメガソーラーは2000キロワットで、総事業費7億8000万円のうち6億2000万円を国内生損保などに債券を買ってもらって調達するようです。
「プロジェクトボンド」と呼ばれる今回のスキームは事業主体の信用力ではなくメガソーラーの利益計画に投資する仕組みで、事業主体が大手でなくても資金調達が可能とされています。
ゴールドマンサックス証券が主幹事を務め、債券の償還期間は18年、来年1〜3月の発行をめざし、金利は年2%程度になる見込みのようです。
記事では、太陽光発電の買い取り制度で長期の利益計画が立てやすくなったため債券発行が可能となり、銀行融資だけでは対応しきれない各地で相次ぐメガソーラー計画も債券方式で建設が加速する可能性もあると指摘しています。


本件記事のみの情報なので詳細は分かりませんが、本件のようなスキーム自体は特段目新しいものではなく、海外での大型資源開発や国内でも発電プラントや不動産開発などの大型プロジェクトでしばしば用いられている資金調達手法です。これをメガソーラー案件に活用した点が国内初とされているところかと思われます。
ポイントは、事業主体の信用力と切り離してプロジェクトの収益力、キャッシュフロー(CF)のみから投融資資金の回収を図るというもので、銀行など金融機関が融資する形態の場合をノンリコースローン(非遡及型融資)といい、本件のような債券発行による資金調達の形態等も含め総称して「プロジェクトファイナンス(プロファイ)」といいます。これに対するものとしての通常の企業向け融資を「コーポレートファイナンス」と呼ぶ場合があります。
記事にもあるとおり、プロジェクトファイナンスは、事業主体が大型プロジェクト実施に見合う規模を有する大手企業でない場合でも、プロジェクトの事業性に着目して資金調達できるという点でメリットがあります。期間18年、金利2%固定で資金調達できる企業はそう多くないと思われます。
具体的には、事業主体が特別目的会社(SPC)を設立し、そこが受け皿となって資金調達を行い、設備投資を行って対象プロジェクトを専業して遂行することとなります。SPCの出資部分をエクイティ、借入金や社債をデットやレバレッジなどといいます。デットの返済につき優先順位をつけて、優先部分をシニアローン(債)、中間部分をメザニンローン(債)、劣後部分をジュニアローン(債)などと分けることもあります。これらの各層をトランシェなどと呼びます。
金融機関や投資家としても比較的高いリターンを期待できます。

また個人的には、本件でゴールドマンサックスが主幹事を務めるという点も若干注目されるところです。
言わずと知れた世界最強の投資銀行として様々な大型案件に関わってきたゴールドマンサックスが、少額ともいえる地域のプロジェクトに関与するいうところが、これまでの同社の実績から見てイメージと異なる感が否めません(私が知らないだけかもしれませんが)。
それだけ日本国内の投資案件が枯渇していることを示しているのか、あるいはメガソーラー案件の今後の拡大を見越した戦略的案件なのか、金融機関等との様々な連携関係から案件化に至ったのかなど、このあたりについても関心を抱かされるものがあります。
posted by kinyu-bengoshi at 00:36| 日記
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