2012年11月29日

【金融円滑化法】地銀の不良債権処理

「地銀、不良債権処理急ぐ 4~9月5割増 円滑化法 期限前に」(日本経済新聞2012.11.28)

全国の地方銀行で2012/4~9期に処理した不良債権の額が前年同期比で約5割増えたとのことです。具体的には、上場地銀・第二地銀84行・グループで貸倒引当金繰り入れなど不良債権処理費用が1100億円となり、前年同期700億円から大幅に増えたようです。大口融資先の法的整理や円滑化法適用中小企業の債務者区分引下げなどによるもののようです。
記事では、来年3月末の中小企業金融円滑化法の期限切れを前に、大手地銀を中心に中小企業向け貸し出しに対する貸倒引当金を予防的に積み増す動きが広がっているが、中下位行などでは引当金などの備えが十分ではない銀行もあると指摘しています。


不良債権とは何か、不良債権処理費用、貸倒引当金はどのように発生するのか、債務者区分とは何か、中小企業金融円滑化法とは何か、適用されるとどうなるのか、などについては、弊事務所HPの金融検査マニュアル・自己査定中小企業金融円滑化法にて詳しく説明しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

銀行が貸倒引当金を積み増して不良債権処理を進めるということは、貸出債権の回収不能による損失をあらかじめ織り込んで計上することを意味しますから、従来とはステージが変わり、対応も大きく変わってくる可能性が出てきます。
例えば、当該貸付先に対する従来の単純な延長線のような追加的支援(新規融資やリスケ)は基本的には難しくなってきます。
十分に引き当てた場合には取引継続をあきらめてサービサーや再生ファンドなどに債権売却(バルクセール)する可能性もあります(バルクセールやその意義については弊事務所HPのQ&A 金融機関取引の基本 融資編Q8を適宜ご参照ください)。
逆に、本業によるCFが見込めるような場合には、様々な私的整理・私的再生のスキームを活用して思い切った事業再生に取り組んでいく可能性も出てきます(事業再生(私的整理・私的再生)のポイントについては弊事務所HPの事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編を適宜ご参照ください)。

金融庁も再三アナウンスしているように、来年3月末に金融円滑化法は期限切れをしますが、その後も金融庁の検査・監督の方針は変わらず、金融機関も引き続き中小企業の金融円滑化に取り組むこととされています(【金融円滑化法】恒久措置【金融円滑化法】金融庁意見交換会ご参照)。
とはいえ、再生可能性の乏しい貸出先もすべてこれまでの単純な延長線のような形で救済・延命を続けるということではないと思います。
借り手の中小企業の側としても、上記のような大きな変化にもなんとか対応できるようにしておくことが重要です。


posted by kinyu-bengoshi at 22:51| 日記
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