2012年11月21日

中小企業退職金共済

「中小の退職金 減額 国の共済制度で厚労省検討 運用難で積み立て不足」(日本経済新聞2012.11.21)

厚生労働省は自前で退職金制度を持てない中小企業が加入する中小企業退職金共済制度(中退共)で退職金を減額する検討を始めたとのことです。
中退共は株式市場の低迷で運用実績が悪化し、11年度末時点で1741億円の累積欠損金を抱えているようです。
具体策として、予定運用利回りを現在の1%から0.8%程度まで引き下げることや毎月の最低掛け金を現在の5000円から増やすことなどを検討しているようです。


それでは、中退共の運用状況やポートフォリオ(資産残高)はどのようなものだったのでしょうか。
以下の表は中退共のHPのデータをもとに集計・加工してみたものです。
chutaikyo.png
(中退共HPのデータをもとに集計・加工)

これをみるとわかるとおり、過去9年度で運用利回りがマイナスなのは2年度だけで、年度別運用成績は7勝2敗です。
各年度の内容をみても、直近2年度は低利回りですがそれ以外のプラスの年度は平均すると5%程度の利回りを確保しており、他方でマイナスの年度も3~5%程度のマイナス利回りにとどまっています。
以上から、これまでのところはむしろ堅調に運用利回りを確保できていたといってよさそうです。
現在の巨額の累積欠損金は、2003/10/1に前身組織から引き継いだ約3230億円の累積欠損金が未だに解消されていないためのようです。逆にいえば、9年間で合計約1500億円もの黒字を出してここまで累積欠損金を穴埋めしてきたといえます。

他方、資産残高をみると、やはりというか国債残高の拡大が目立ちます。
当初は構成比23%程度だったのが一時42%程度まで上がり、現在は37%程度となっています。
表面的な運用利回りだけではなく、こうした国債への集中も将来のリスクとして理解しておく必要があると思われます。

以上を総合判断のうえ、上記のような厚労省の方針検討に至ったものと思われます。


posted by kinyu-bengoshi at 22:36| 日記
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