2012年11月16日

【金融円滑化法】銀行中間決算

「5大銀 今期14%減益 株式減損 4~9月7000億円超」(日本経済新聞2012.11.15)

14日に出そろった大手銀行5グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、三井住友トラスト)の2012年4~9月期決算は最終利益が前年同期比31%減の約1兆4000億円となったとのことです。保有株式の減損処理額が7000億円を超え、国債売買による多額の利益計上を帳消しにしたとのことです。
これに加えて、今後景気減速で不良債権処理損失が拡大したり、大口融資先の電機メーカーなどの業績不振が続けば引当金を積み増すなどにより損失が拡大する恐れが指摘されています。
また、来年3月の中小企業金融円滑化法終了に伴い来期以降中小企業の不良債権が増える懸念があるともしています。

このように記事では、持ち合い株式の株価下落と不良債権処理損失による影響に着目しており、確かに表面的にはその通りだといえます。
しかし、銀行決算の最大のリスクは株でも不良債権でもなく、国債であることは間違いないといえます。
各行の2012年9月中間期の決算短信及び説明資料から抜粋すると、資産状況は以下の通りとなります。
bankkessan.png
(各行の2012年9月中間期決算短信及び説明資料のデータを元に作成)

以上からわかるとおり、5グループ全体でみて保有株式は8兆円に過ぎないのに対し、保有国債は108兆円とケタが違います。
現在は異常ともいえる超低金利が継続していますが、今後金利が上昇に転じた場合はこれらの国債価格が下落することになり、その規模からして株式の減損どころの話ではなくなります。
貸出金の不良債権化もその影響は大きいですが、貸出金は分散が図られていますし、各銀行で厳密な自己査定も行っておりある程度コントロールが可能といえます。
これに対し、金利や国債価格は完全に外的な要因で、各銀行はコントロール不可能ですから、その分リスクが高いといえます。
銀行が国債保有リスクを減らそうとすると、国債を売却して保有残高を減らしていくしかないですが、一気に売却すると国債価格の下落を招くというジレンマもあり、容易ではないです。現在は益出しをしながら徐々に売却しているようですが、それでもまだ上記のような保有残高です。
株価も重要ですが、金利の動向にも注目する必要があります。

なお、中小企業金融円滑化法については、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法に詳しく説明しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 00:56| 日記
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