2012年10月31日

電気料金値上げ

「電力、値上げ機運広がる 関電が方針表明 上期、1167億円の赤字」(日本経済新聞2012.10.30)
「九電も値上げ表明 地域間料金差が変動 越境契約進む可能性」(日本経済新聞2012.10.31)

関西電力が29日、九州電力が30日に、それぞれ相次いで記者会見で電気料金値上げの方針を表明しました。
値上げ時期や値上げ幅は明らかにされていませんが、報道によれば、関電は企業向けで2〜3割、家庭用で1割の値上げ、九電は企業向けで2割超、家庭用で1割前後の値上げとなりそうとのことです。
両者が値上げ方針に踏み切ったのは、言うまでもなく厳しい決算状況のためです。
関電は今上期1167億円、九電は今上期1495億円のそれぞれ大幅赤字となりました。
この要因としては、原発停止に伴う代替の火力発電の燃料費が膨らんだことが最大のものとして挙げられています。
今回開示された両社の決算短信によれば、両社の今上期の決算は、

denryokukessan.png
(関西電力、九州電力の決算短信のデータをもとに作成)

となっています。

地域独占や総括原価方式により赤字になるはずがないとされていた電力会社のこのような決算状況は信じられないものがありますが、こうして現実の数字で示されるとその厳しさが改めてわかります。
両社とも同様に、営業収益は微増を果たしていますが、燃料費の大幅な増加を主たる要因として大幅な営業赤字となっています。
営業赤字とは文字通り本業の収益性を示すものですから、火力燃料を購入して火力発電所で発電して電気を売れば売るほど赤字が広がるという構造的な赤字状況となっていると思われます(事業別損益の分析をしてみないと正確にはわかりませんが)。
このような、構造的ともいえる本業赤字状況を脱するためには、営業収益を上げるか、営業費用を下げるしかありません。
営業費用については、これまでもコスト削減を進め、今後もさらに進めるのだと思います。
しかしコスト削減といってもできることとできないことがあり、最大のコスト増要因である燃料費は相手もあることなので自助努力のみでの削減は難しく、コスト削減にも限界があります。(なお、コスト削減の有力な手段として原発再稼働の必要性が言われていますが、今回のような原発事故に伴う莫大な費用負担や核燃料最終処理コストなども合わせてみれば、必ずしも安価な電源とは言えないと思われます(実質的な原発コストについては今後精査され明らかにされるものと思われます))。
そうすると、営業収益を上げるしかないですが、販売電力量はそう増えませんから(また、今の状態では増やせば増やすほど赤字になる)、どうしても値上げに行かざるを得ないということになります。
東京電力はすでに値上げをしていますし、北海道電力、東北電力、四国電力も値上げを検討中のようです。
電力会社は地域への供給責任を負っていますから、その経営の安定は地域にとっても重要です。
それにしても、企業向けで2〜3割、家庭用で1割の値上げというのは、需要側にとって非常に大きな負担であり、懐をまさに直撃しますので、景気下押し要因となることは間違いないといえます。
ただでさえ景気低迷が長引き、少子高齢化、デフレ、超円高という悪材料がそろっている中で、消費増税や今回の電気料金値上げと負担増が目白押しで、どこまで景気が悪化するのかと非常に危惧されます。
目先の帳尻合わせをしたとしても「国栄えて民滅ぶ」「電力栄えて民滅ぶ」となってしまっては元も子もないですし、最終的にそのように落ち着くということもないので(民が滅べばすべて滅ぶ)、景気低迷下で縮小したパイの中での所得再配分ではなく、やはり地道な経済再建、景気回復を目指す王道しか抜本的な解決策はないのではないかと思われます(しかし、では具体的にどうすればよいかということについてはなかなか答えが見つかりません)。
posted by kinyu-bengoshi at 23:59| 日記
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