2012年10月25日

衆議院解散請求1

解散棚上げ 居直る首相 「武装解除と言ったのに問責出したのは谷垣さん」 3党合意崩壊の内幕」(産経新聞2012.10.25)

今月19日の民主、自民、公明3党党首会談の全容が明らかになったとのことです。
記事によれば、解散時期の明示を渋る野田首相に対し、安倍自民党総裁が「首相は谷垣さんに、来年度の予算編成はやらないとおっしゃった」と隠し玉を持ち出し、山口公明党党首もこれに同調したところ、首相は「「不信任案、問責決議案を封印する。武装解除するから解散時期を言ってほしい」と言ったのは谷垣さんですよ」と反論し、「だらだらと延命することはしません」と述べたが、結局物別れに終わったとのことです。また首相は、24日に新党大地の鈴木代表から「選挙をやっている場合ではない」と水を向けられると「わたしもそう思います」と応じたとのことです。
この記事を見る限り、やはりというか首相は解散するつもりはなさそうで、客観的事実から見れば、首相は谷垣氏に対して解散合意をぶら下げて消費増税法案成立に協力させることに首尾よく成功し、自民党はいいところだけ食い逃げされたということになりそうです。
担保のない貸付は避けるべき、という融資の基本原則を改めて思い出させられるところです(担保偏重主義もよくないですが)。
では、法律的にみるとどうでしょうか。
「解散合意に基づく衆議院解散請求権」などという法的請求権が成り立つかどうかはともかく、裁判に訴えたとしても斥けられると思われます。
ちなみに、かつて衆議院の解散の効力が裁判で争われたことがあります。
原告の国会議員が、被告国に対し、昭和27年8月28日の第三次吉田内閣による衆議院のいわゆる「抜き打ち解散」が、憲法上必要な内閣の助言と承認なくなされたものであり無効であると主張し、任期満了までの議員歳費(約28万円)を請求したというものです(苫米地事件)。
最高裁は、「わが憲法の三権分立の制度の下においても、司法権の行使についておのずからある限度の制約は免れないのであって、あらゆる国家行為が無制限に司法審査の対象となるものと即断すべきでない。直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為のごときはたとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられていると解すべきである」として、衆議院解散の効力についての判断を避けた上で、原告の請求を斥けました(最高裁昭和35年6月8日判決)。
この判決は、いわゆる「統治行為論」をとったものと考えられています。
公党の代表者同士の衆議院解散合意についても、統治行為的なものとして裁判所による司法審査の対象外とされるか、法的請求権がないとして斥けられそうです。
そういう前提ではありますが、もし仮に自民党が野田首相に対し解散合意に基づく衆議院解散請求訴訟を提起したとした場合の主張整理や事実認定について、次回以降試みたいと思います(息抜き程度の頭の体操のようなものです)。
posted by kinyu-bengoshi at 20:49| 日記
リンク集