2012年10月17日

LIBOR問題3

LIBOR不正操作による影響

今回の一連の報道は、要約すると、LIBORは、資金融通に参加する銀行の自己申告をベースに算出される、このうち一部の英銀がリーマンショック後の信用不安を防ぐためにあえて低い金利を申告する虚偽の申告をした、それには英中央銀行幹部の示唆があった疑いがある、当該英銀以外の他の英銀や米国、ドイツ、スイスなどの大手銀の関与の疑いもある、その結果、LIBORが低く誘導されてゆがめられていた可能性がある、というものです。
これが事実だとすれば、物差しとなる基準金利が不正にゆがめられていたことになり、銀行から借り入れをしている企業や個人、金融商品の投資家等にも影響が出てきそうです。

@融資の借り手企業や個人
今回の操作の内容は、LIBORが低めに誘導されていたというものですから、借り手の企業や個人にとっては、本来よりも低い金利で資金調達が出来ていたことになります。

A金利スワップの変動金利の受け手
企業の中には、銀行との間で金利スワップを行って、変動金利(LIBOR)を受け取るポジションにある場合もあると思います。この場合は、LIBORが低く誘導されたことにより、本来得られたはずの金利収入を得られなかったという点でうべかりし利益の損失があるといえそうです。もっとも、金利スワップで支払いをする固定金利(スワップレート)も、低く誘導されたLIBORを基準に算出されるので本来よりも低くなっている可能性があり、理論上はトントンになりそうです。金利スワップ契約時点ではLIBORが低く誘導されていなかったが、その後のスワップ履行期間中にLIBORが低く誘導された場合には、変動金利の受け手側においてうべかりし利益の損失が生じていたと言える余地もありそうです。
報道によれば、米国では、企業や自治体による欧米の大手金融機関に対する損害賠償請求訴訟が相次いでいるようですが、金利スワップにおける変動金利の受け手がうべかりし金利収入の損害賠償を求めるものようです。

B投資家
金融商品・デリバティブなどの金融資産や、不動産などの一部の実物資産においては、将来CFの割引現在価値により時価が算定されますが、その際に割引率というものが用いられます。この割引率は、LIBORなどの基準金利にリスクを上乗せしたものの裏返しとして算出されますので、LIBORが低く誘導されていると、割引率は高くなり、その結果、割引現在価値、すなわち時価も割高に算出されることになります。そうすると、これらの資産を取得した投資家などは、本来の価格よりも割高な価格で購入したという点で損失を被ったともいえそうです。
また、LIBOR連動型の金融商品もあり、米国では、こうした商品の投資家もうべかりし金利収入の損害賠償を求める訴訟を起こしているようです。

C銀行の株主
今回のLIBOR問題発覚後、不正への関与が報じられた英銀等の株価が下落しています。これらの銀行の株主は、保有株価の下落という形で損失を被っているとも言えます。
posted by kinyu-bengoshi at 00:25| 日記
リンク集