2014年03月26日

中小企業返済猶予から転廃業へ

「中小企業の転廃業促す 金融庁、返済猶予から転換 地銀などに対応要請」(日本経済新聞2014.3.19)

(記事一部引用)
 金融庁は中小企業金融円滑化法に基づき返済猶予を受けてきた中小企業に対し、転廃業を促す方針に転換した。金融機関への立ち入り検査でこれまでは返済猶予を求めてきたが、無条件で返済を猶予するのではなく、金融機関が抜本的な企業再生に取り組むよう促す。官民ファンドの地域経済活性化支援機構で新事業に再挑戦する中小企業経営者を後押しする新制度も年内にも始める。
(引用終わり)


記事によれば、経営者保証ガイドラインと地域経済活性化支援機構の機能拡充をテコに、これまでの返済猶予による先送り路線から、抜本的な企業再生等の対策をとらせるよう、政策転換を図るものといえそうです。

経営者保証ガイドラインは、本年2月1日から運用開始されております。具体的な適用事例はまだ報道等されておりませんが、法的拘束力のないガイドラインとはいえ、金融庁が金融機関に対してその活用をしきりに促していることからも、今後の活用の拡大を期待したいところです。

また、記事によると、地域経済活性化支援機構法を改正し、同機構の支援対象は、これまでは経営難の企業に対する不良債権だったのを、誠実な経営姿勢、適切な情報開示など借り手経営者の資質がよい正常債権も支援するというもののようです。抜本的な企業再生等とは、早期の事業再生、事業再編、業態転換、休廃業といったもののようですが、誠実な経営者の正常先企業にこのような対策を求めるケースがどれだけあるのかは疑問もあるところと思われます。案件不足の機構を融通無下に機能拡大して、さらに民業圧迫するつもりかとのうがった見方もありえそうですが、そうではないことを期待したいところです(具体的な改正案を見ないと正確なところは分かりませんが)。
posted by kinyu-bengoshi at 17:43| 日記

2014年03月14日

国家主導型クールジャパン事業

「アニメ海外配信でジェトロと提携 クールジャパン機構」(日本経済新聞2014.3.13)

(記事引用)
 日本貿易振興機構(ジェトロ)と生活産業の海外展開を支援するファンド、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は13日、日本のアニメやファッションなどを海外に発信する事業で提携すると発表した。ジェトロが海外での市場動向や人的ネットワークを紹介し、クールジャパン機構は物販拠点の整備や海外メディアでの情報配信を担う。
 同日、業務提携契約を結んだ。クールジャパン機構が今後海外で手掛ける予定の複合商業施設「ジャパンモール」に出店する企業を発掘・支援する。クールジャパン機構は経済産業省が中心となり、政府や民間企業が出資して昨年11月に設立した。
(引用終わり)


アニメやファッションなどの表現・創作活動の、本来的に国家や権力から自由でありたい、そうした自由が保障されてはじめて様々な自由な発想が生み出され、世に向けて自由に発信し、市場での評価にさらされ、消費者を惹きつけたものが需要をつかんでいくという、いわば表現の自由の本質にあえて逆らって、国の機関が何がクールなのかを一定の基準のもとで判断して、そこで認定してお墨付きを与えたものを、公的資金も投入して海外に売り出すという、お上が良いと決めたものが良いものなんだと言わんばかりの、一見すると時代錯誤的なあたかも明治政府の殖産興業政策を思わせるような国家主導型クールジャパン事業が本格始動するようです。

クールジャパン機構が、単にクールジャパン企業が入居する複合商業施設を所有・賃貸する国営商業不動産デベロッパー業者であるにとどまるはずはなく、前面に出てクールジャパンを展開していくのだと思われますが、国家機関の認定や金銭面を含む様々な支援を受け、その支配統制から自由ではいられない、国家の手垢がついたようなアニメやファッションなどが海外市場で受け入れられるのか、本当は良いものなのに、そのために逆に変なバイアスがかかってかえって正当な評価がされにくくなるのではないか、そもそもそのようなものが自由市場で存在しえるのか、それがクールかどうかはあくまで需要側が判断するものであり、海外の消費者をなめていると思われないか、国家による文化の押し売りと受け止められてかえって警戒や反発を受けないか、共産主義国家の指導者の銅像や肖像画や宣伝映画などと同じとまでは言わないにしても、それと似たような受け止め方をする人もいるのではないか、といった普通の人が考えるような素朴な疑問など一蹴する意欲的なプロジェクトであり、民間にはない能力やノウハウを有するクールジャパン機構が、巨額な公的資金を使ってこのような一般の見方を覆す成果をあげるはずなので、今後注目されるところです。

また、例えば、以下のような仮想事案がどのように判断されるのかなども興味あるところです。

(1)すでに特にヨーロッパを中心に日本を代表する小説家として揺るぎない名声を得ており、毎年ノーベル文学賞候補にもあがる小説家による、反日的、反国家的な内容の小説

(2)日本の公共放送機関が制作した、日本の風土の美しさ、地域の歴史や伝統の素晴らしさ、日本人の謙虚で慎ましい民族性などを賞賛する内容のドキュメンタリー番組

(3)すでに世界的な名声を有する日本人映画監督による、世界の名だたる国際映画賞を総なめした、日本人や日本社会を痛烈に批判する内容の映画

(4)(3)の映画監督が、日本人や日本社会の素晴らしさを感動的に訴える内容の映画を作ったが、「らしさ」が失われたとしてファンからは評価されなかった映画

(5)フランスなどで絶大な人気を博している日本人アニメ作家による、やや過激で眉をひそめるような描写を含むアニメ

(6)(5)のアニメ作家が、万人受けするように、自身の特徴ある筆致を変えて、過激な描写を抑えて描き直したアニメ

(7)日本の複数の一流メーカーが最先端の液晶技術を結集して製造したが、大きすぎ、高すぎて誰も買わない超高画質大画面テレビ

(8)日本では昔から食されており、今でも根強い人気があるが、一部の海外からその捕獲を強く抗議されて外交問題にもなっている食材を使った伝統和食料理

(9)日本政府が民間に予算をつけて委託して作成させた、日本の伝統や文化の素晴らしさを余すところなく紹介した内容の、世界中の言語に翻訳された豪華装丁本

(10)日本の四季の美しさと俳句の素晴らしさを世界にアピールするために、文部科学省が主催した日本の四季をテーマとする俳句コンクールで入選した100人の俳句と、江戸時代以来の著名な俳句を選んで合わせて編纂した国選俳句集

posted by kinyu-bengoshi at 18:27| 日記

2014年03月12日

地銀の貸出金利息減

「地銀の貸出金利息4%減 国内頼み、収益厳しく」(日本経済新聞2014.3.11)

(記事一部引用)
 地方銀行の本業の収益悪化が進んでいる。2013年4〜12月期の貸出金から得られる利息収入は平均で4%減った。海外融資を増やすなどした3メガ銀で2.4%増えたのとは対照的で、国内頼みの地銀各行の収益の厳しさが改めて浮き彫りになった。人口減少の進展に伴う経営環境の悪化が避けられず、再編も含めた新たなビジネスモデル作りが急務だ。
(引用終わり)


銀行の調達(預金)金利にはおのずと下限(0%)があるので、貸出金利の低下が利ザヤ収益の悪化に直結しやすい状況となっているといえます。

日銀による貸出資金供給の拡充や官民ファンドなど様々な形での公的資金の投入等によりマネーがあふれ、官民入り乱れての国内案件のパイの奪い合いの様相と呈している状況が浮かび上がっているといえます。

こうした状況は、地銀の統合再編を志向する政府当局(「金融庁、地銀に再編促す 「統合を」長官が異例の言及」(日本経済新聞2014.1.25))の意図する方向に沿ったものとみることもできますが、地銀が体力を消耗して淘汰再編に向かう一方で、官製金融がそれに取って代わるようでは何の意味もないではないかとの民間の恨み節も聞こえてきそうです。
posted by kinyu-bengoshi at 18:38| 日記
リンク集