2014年02月19日

官製リスクマネー急増

「官製リスクマネー急増 13年末の供給残高、過去最大 税財源に頼らず乱立 官民ファンド、民業圧迫も」(日本経済新聞2014.2.19)

(記事一部引用)
 政府が官民ファンドなどへの出資を通じたリスクマネーの供給を増やしている。政府出資に使う「産業投資」の残高は昨年末で4兆6069億円。前年末比13%増加し過去最大となった。安倍政権がつくった官民ファンドの乱立を反映しており、民業圧迫になりかねないとの懸念も根強い。税財源に頼らない政府マネーの拡大は厳しい財政事情の裏返しでもある。
(引用終わり)


政府の財政投融資特別会計の産業投資(官製リスクマネー)の残高が急増し、この3年間で1兆円近く増え、2013年末時点で4.6兆円となったようです。もっとも、産業投資の直接の投資先は公庫などの特殊法人や官民ファンドなどの一種の政府機関であり、4.6兆円のキャッシュがそのまま民間リスク部門に供給されたわけではないことに注意する必要があります。

官製リスクマネーの問題は、実需の裏付けなしに予算措置により巨額の資金が投じられ、特殊法人や官民ファンドなどの公的部門が肥大化すること、それにより民業が圧迫されること、公的部門は一般に経営が非効率なので様々な無駄が生じやすいことなど、昔から言われていることが今でも当てはまるといえます。

過去に3セクなどの公的投資で巨額の損失を被って痛い目を見たのと同じような手法を再びとるところ、今後の投資パフォーマンスや所期した政策効果の達成状況が注目されます。
posted by kinyu-bengoshi at 18:36| 日記

2014年02月17日

銀行不良債権の大幅減少

「銀行不良債権、ピーク時の4分の1 担保物件の処理進む」(日本経済新聞2014.2.11)

(記事一部引用)
 銀行の不良債権が着実に減っている。金融庁が2013年9月末時点で集計したところ、ピークだった調査開始時点(02年3月期)と比べ4分の1に減り、過去最低を更新している。アベノミクス(安倍晋三首相の経済政策)により不動産市況が回復し、担保物件の処理も進んでいるようだ。
 金融庁が115行を対象に聞き取り調査などで集計した。02年3月末に43兆円だった不良債権は13年9月末に11兆円まで減った。
(引用終わり)


金融庁のプレスリリースによれば、全国銀行(115行)の不良債権(金融再生法開示債権)は、2002年3月期43兆円から2013年9月期11兆円と4分の1に減り、不良債権比率も8.4%から2.1%と大幅に低下しました。この間、総与信額は512兆円から514兆円と横ばいのなか、正常債権は468兆円から503兆円と大幅に増えました。

これを、銀行の自己査定による債務者区分でみると、2002年3月期は、正常先393.4兆円、要注意先80.2兆円、要管理先〜破綻先(いわゆる不良債権)43.2兆円だったのが、2013年9月期は、正常先443.3兆円、要注意先39.6兆円、要管理先〜破綻先11.0兆円、となりました。リーマンショック後の2009年3月期でみると、正常先405.5兆円、要注意先47.3兆円、要管理先〜破綻先12.0兆円となっており、その後わずか4年半で、しかも経済状況はほぼ一貫して悪かったなかで、要管理先以下が1兆円減る一方で、正常先が38兆円も増えたこととなります。

これを、単にアベノミクスによる景気回復効果で説明することは到底無理があり、実際は、様々な施策による効果が大きいといえます。なかでも、2009年12月施行の金融円滑化法による金融機関によるリスケ対応の大幅増加と、監督指針や金融検査マニュアルの改正による貸出条件緩和債権(不良債権)に該当しないための要件の緩和が主要なものとして挙げられます。後者は、具体的には、借り手企業の経営再建の達成時期の弾力化(3年以内→5年以内(最長10年以内))と経営改善計画(「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」。いわゆる「実抜計画」)の策定時期の弾力化(条件変更時→条件変更時より最長1年以内)が措置されました。金融円滑化法は2013年3月末に期限をむかえて終了しましたが、監督指針や金融検査マニュアルは恒久措置として今も継続しています。

しかし、中小企業を巡る事業環境は依然として厳しく、貸付条件の再変更等が増加(実行の約8割)、貸付条件の変更等を受けながら経営改善計画が策定できていない中小企業も増加しているとされています。金融円滑化法利用事業者約30〜40万先のうち、特に事業再生・転廃業が必要な事業者は約5〜6万先と推計されています。同法利用事業者の倒産件数の増加傾向もうかがえます。

銀行不良債権の大幅減少、裏返せば正常債権の大幅増加は、政策効果によるところが大きく、経済実態からみていささか実力以上の過大な姿のようにみえます。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。

posted by kinyu-bengoshi at 15:31| 日記
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