2013年12月27日

全銀協TIBOR新規制案

「銀行間金利に規制導入 金融庁が発表」(日本経済新聞2013.12.25)

(記事引用)
 金融庁は25日、金融機関の取引金利などの金融指標に規制を導入すると正式に発表した。企業向け貸出金利の基準として使われる東京銀行間取引金利(TIBOR)を規制の対象に指定する。不正が発覚した場合、同指標を算出する全国銀行協会に行政処分を出せるようにする。
 大学教授や市場関係者らで構成する検討会が25日、報告書をまとめた。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)など国際的な指標金利の不正操作問題を受け、規制策を検討してきた。金融庁は金融商品取引法の改正を経て、2015年をメドに規制を導入する。
(引用終わり)


昨年6月に英国で発覚した指標金利LIBORを巡る不正操作事件については、その後、監督当局による規制強化や欧米金融機関への巨額の制裁金などの動きがとられてきましたが、日本でも、金融庁において指標金利への規制あり方が検討され、このたび、新規制案が公表されました。
要約すると、
・規制対象はTIBOR(東京銀行間取引金利)とする
・指標金利算出機関の指定制度の導入
・指定を受けた者を「指定金融指標算出機関」(仮称)、公的規制の対象となる金融指標を「特定金融指標」(仮称)と位置付ける
・指定金融指標算出機関のガバナンスの強化や説明責任の履行
・指定金融指標算出機関の業務規程作成と当局認可
・指定金融指標算出機関の説明書類作成と公衆縦覧
・検査・監督当局による、指定金融指標算出機関に対する報告徴取・立入検査、業務改善命令、業務停止命令、役員解任命令、指定の取消し
・特定金融指標(TIBOR )の呈示者と指定金融指標算出機関との間の「行動規範」(Code of Conduct)締結と当該行動規範の当局認可
・金融商品取引業者等のデータ呈示に関する不正行為の禁止と罰則による担保
などとされています。

LIBOR問題やTIBORとの関係などについてはこれまでLIBOR問題1LIBOR問題2LIBOR問題3LIBOR問題4にて取り上げていますので、適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 14:42| 日記

2013年12月13日

セーフティネット保証特例廃止

「中小向け融資、保証縮小 政府がリーマン後の特例廃止」(日本経済新聞2013.12.12)

(記事一部引用)
 政府は経営不振の中小企業向け融資の100%保証の対象を2014年から縮小する方針だ。08年秋のリーマン・ショック後に特例として緩めた保証条件をリーマン以前の水準に戻す。中小企業向けの危機対応の融資を平時モードに戻し、企業に必要な経営改革を促す。
(引用終わり)


記事の保証制度は、いわゆる「セーフティネット保証5号」(中小企業信用保険法2条5項5号)で、信用保証協会が中小企業の借入額の100%を保証するというものです。保証限度額は、一般保証とは別枠で、無担保8千万円、最大で2億8千万円、保証料率は0.7〜1.0%(保証協会所定の料率)とされています。

対象者は、業況の悪化している業種(※1)に属する事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者、とされています。

※1: 過去の業況に比して直近の業況が悪化している業種を指定(現在642業種)。原則全業種指定の取扱については、平成23年3月末をもって終了する旨を同年1月28日に公表したが、その後、東日本大震災が発生したことから、緊急避難的に原則全業種指定の運用を継続。平成24年11月1日以降は、本件について実施した業況調査の結果を受けて、業況が改善した業種については指定業種から外す。なお、ソフトランディング措置として、現在の基準(最近月の売上高等が前年同月比5%以上減少等)に加え、一層緩和した基準(最近月の売上高等がリーマンショック前(4年前)比5%以上減少等)を適用。

認定基準は、指定業種に属する事業を行う中小企業者であって、以下のいずれかの基準を満たすこと(※2)、とされています。
(イ)最近3か月間の売上高等が前年同期の売上高等に比して5%以上減少していること。
(ロ)原油価格の上昇により、製品等に係る売上原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、物の販売又は役務の提供の価格(加工賃を含む。)の引上げが著しく困難であるため、最近3か月間の売上高に占める原油等の仕入価格の割合が、前年同期の売上高に占める原油等の仕入れ価格の割合を上回っていること。
(ハ)円高の影響により、原則として最近1か月間の売上高等が前年同月に比して10%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して10%以上減少することが見込まれること(※3,※4)。

※2: 平成24年11月1日以降の業種指定にあたっては、※1にあるとおり、それまでの業種指定基準を一層緩和した基準(最近月の売上高等がリーマンショック前(4年前)比5%以上減少等)を適用したが、平成24年11月1日以降の市区町村における認定においては、4年前の売上高等と比較する基準は適用せず、上記2.のとおり、最近3か月の前年同期の売上高等と比較する基準を引き続き適用する。
※3: 最近2か月の売上高等の実績値とその翌月を含む3か月間の見込み値で認定申請することも可能。
※4: 売上高等の減少が円高によるものであることを具体的に記述した書面(理由書)が必要。

記事によると、今回廃止される特例は、上記※1の、業種指定に際し売上高減少の比較時点をリーマンショック前とすることも認めるソフトランディング措置のようで、これにより指定業種は現在の642業種から200業種程度まで減る見通しのようです。

100%保証では金融機関は貸し倒れリスクを全く負わないので、債務者の信用力がなくても安易な融資が行われやすく、不良債権が膨れ上がるという副作用があります。貸し倒れ損失は保証協会が負担し、ひいては国民負担に帰するということですから、どこかで歯止めをかけなければならないものといえ、それが今回の見直しといえます。

特例廃止により100%保証でなくなると、原則通り、保証割合は80%となるとみられ、それまでゼロだった貸し倒れリスクを20%とはいえ負担することになる金融機関は、これまで通りには保証協会保証付貸付を行うことはできず、借り手中小企業への影響は少なくないものとみられます。

そのため、激変緩和措置として代替の融資制度の新設も行うようです。
posted by kinyu-bengoshi at 13:18| 日記

2013年12月09日

中小企業経営者向け保証減免の無税償却

「金融機関、中小企業の債権放棄しやすく 私的整理時に無税償却」(日本経済新聞2013.12.5)

(記事一部引用)
 政府は年度内に発効する新しい中小企業経営者の私的整理指針に沿って金融機関が債権放棄した場合、無税償却を認める。金融庁と中小企業庁、国税庁が合意した。新指針は中小企業の転廃業を促すため、早期に再建や清算に取り組む中小企業の経営者に私財を一部残すことを認める。回収できる資産を残した状態でも金融機関が債権放棄に応じやすくする。
 新指針は国内約420万社の中小企業を対象とする。
(引用終わり)


政府が5日閣議決定した経済対策(「好循環実現のための経済対策」)にも盛り込まれ、同日策定・公表された「経営者保証に関するガイドライン」(中小企業の私的整理新指針もご参照)において(正確にはQ&A)、ガイドラインに沿った中小企業経営者向け保証減免の場合、債権者金融機関と保証人経営者に課税関係が生じないことが明記されました。

中小企業の私的整理のネックとなっていたのが経営者保証人の保証債務の処理で、その一要因となっていた課税の問題(債権者における有税償却、債務者における債務免除益課税)がクリアになることで、ガイドラインの実効性が裏付けられる要素となるといえそうです。

従前の私的整理ガイドライン等でも同様の扱いがされており、今回もそれが踏襲されたものといえます。

posted by kinyu-bengoshi at 13:59| 日記
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