2013年10月18日

経営者個人保証に依存しない融資

「個人保証ない融資を実行」(中国新聞2013.10.6)

(記事引用)
 商工組合中央金庫広島支店(広島市中区)と福山支店(福山市)は、経営者の個人保証を求めない融資を広島県内で初めて実行したと発表した。商工中金が4月に始めた制度で、新分野への進出や創業を後押しする。
 新制度は、業績を小まめに報告するなど一定の条件を満たせば、経営者の個人保証がなくても貸し出す。経営者は負担が軽くなり、投資や新事業をしやすくなる。
 広島支店は手袋製造のアトム(竹原市)に1億円を融資した。より丈夫な手袋の開発・製造や、東南アジアでの農作業用長靴の販売事業に使う。資金は広島県内とタイの工場の設備更新などに充てる。同社は「事業の評価を得た融資なので、企業のステータスにもなる」と受け止める。
 福山支店は、ソフトウエア開発のドリームネッツ(福山市)に1500万円を融資した。
 中小企業向け融資の多くには個人保証が付いている。個人のリスクが大きく起業や事業展開を妨げているとして、国は年内にも在り方を見直す指針をまとめる。
(引用終わり)


経営者個人保証を求めない中小企業向け融資は、政府系金融機関の商工中金が先行する形で積極的に取り組んでいるようです。

経営者個人保証の問題については、中小企業庁と金融庁が設置した「中小企業における個人保証等の在り方研究会」において議論が行われ、5月に「中小企業における個人保証等の在り方研究会報告書」が公表されました(経営者保証新ガイドライン(指針))。その後、同報告書を受けて、金融庁と中小企業庁によりガイドライン策定のための検討会議が設置され、年内策定に向けて議論が行われています。

経営者個人保証に依存しない融資については、ガイドライン策定を待たずに商工中金等において既に取り組まれていますが、前記報告書では、停止条件付保証契約(又は解除条件付保証契約)、ABL、金利上乗せ、物的担保等の併用により信用リスクに見合った債権保全を図るといった融資手法が具体的に明記されています。この中でも、停止(解除)条件付保証契約はこれまであまり一般的ではなく、関心も高いところです。

前記報告書や停止条件付保証契約などについては、拙稿「経営者個人保証に依存しない融資に向けた検討事項〜停止条件付保証契約を中心に〜」(銀行実務2013.11)で触れていますので、適宜ご参考いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 18:13| 日記

2013年10月15日

民間資金等活用事業推進機構(PFI推進機構)

「インフラ整備へPFI機構発足 政府保証枠、最大3000億円」(日本経済新聞2013.10.11)

(記事引用)
 政府は11日、官民が出資した民間資金等活用事業推進機構(PFI推進機構)を立ち上げた。民間企業が公共施設と収益施設を併設してもうけを確保し、国や地方自治体の負担がゼロになる独立採算の事業に出融資する。公共施設の運営権を買い取る事業も対象。国や地方のインフラ整備の負担を抑えるが、野放図にお金を出せば、国民負担が発生する可能性もある。
 PFI推進機構は政府から100億円の出資を受けたほか、3メガバンクや第一生命保険など民間約60社からの出資額も年内に100億円に達する見通し。さらに機構が大型案件を手がけるときに銀行から資金を集めやすくするため、最大3000億円の政府保証枠を設けた。
 機構が出融資する事業はPFI(民間資金を活用した社会資本整備)のうち、国の負担をかけずに整備ができる方式に限る。一つは、例えば官庁のビルを建てるときに、商業施設やレストランを併設して収益を確保し、建設資金を回収する独立採算型だ。
 もう一つは、国や自治体が高速道路や空港を運営する権利を丸ごと民間に売り払うことで、建設資金を回収するコンセッション型だ。こうした方式はまだ民間の資金の出し手が少なく、足りない分を機構が出す。
 現在、PFIで一般的なのは、建設資金を一時的に企業に立て替えてもらう「延べ払い型」。最終的な公的負担が減らないため機構の投融資の対象にはしない。
 世界全体の民間インフラファンドの市場規模は20兆円規模といわれるが、国内では「ほぼゼロ」(内閣府)。機構は資金供給に加え、PFI事業に関心のある企業に専門家を派遣して民間ファンドを育てる方針だ。
 政府は厳しい財政状況を背景に、PFIの事業規模を今後10年で今の3倍の12兆円に増やす。PFI推進機構はその中核となる。
(引用終わり)


民間資金を活用したインフラ整備(いわゆるPFI)のための機構(ファンド)が公的資金で設立されたようです。
公的資金を活用した不動産開発法人(公社、3セク等)は過去に山ほど作られてことごとく失敗したことは記憶に新しいですが、こちらの機構は、あくまで独立採算型の案件のみを投資対象とし、公的負担は原則ないようです。

PFI自体は、平成11年制定の「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(いわゆるPFI法)で推進がうたわれたもので、そう真新しいものではないですが、これまでなかなか普及してこなかったので、今回国も拠出するファンドを設立する形で推進を図ったものといえます。

投資先不足に悩む民間資金は、採算が合う案件であれば基本的に投資に向かうので、これまでPFIの実績がなかなか伸びてこなかったのは、採算に問題があった可能性があります。個別の案件の採算性の検討なしに単に器を作って投資資金を集めても、今まで通り採算が合わなければ投資されないか、記事も指摘する通り、採算が合わなくても野放図に投資されて結局損をするか、ということになりかねないといえます。なお、機構の投資資金調達については政府保証(最大3000億円)が付されるので、その分についての投資損失は最終的に国民負担に帰することになります。

内閣府の公表資料によれば、今後10年間で10~12兆円規模の事業を推進するとのことですが、今回の政府出資100億円と政府保証枠3000億円がその呼び水となって最終的に公的負担なしで民間資金のみでできればよいですが、投資案件不足や野放図な投資がばらまかれるなどにより、単なる公的信用活用機構となって結果的に国民に負担が押し付けられるようなことは避けていただきたいというところです。
posted by kinyu-bengoshi at 12:55| 日記

2013年10月10日

【金融円滑化法】2013.4〜9企業倒産

「4〜9月の企業倒産、9%減の5505件 22年ぶり低水準 商工リサーチ」(2013.10.8日本経済新聞)

(記事引用)
 民間調査会社の東京商工リサーチが8日発表した全国企業倒産状況によると、4〜9月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上、銀行取引停止処分などを含む)は前年同期比9%減の5505件だった。年度上半期としては5年連続減少し、1991年度上半期(5244件)以来、22年ぶりの低水準となった。中小企業金融円滑化法の適用期限が3月末に終わったあとも政府の政策対応などで中小企業向けの貸し出しが増加。企業による返済計画の変更要請に金融機関が柔軟に対応していることも倒産減少に影響しているという。
 負債総額は1%減の1兆7990億4500万円だった。上半期としては過去20年間では最少となった。負債総額が10億円以上の大型倒産が90年度上半期以来の少なさだったことも影響した。業種別では10業種のうち建設、製造、卸売り、小売りなど8業種で減少した。
 9月の倒産件数は前年同月比12%減の820件。9月としては1990年(531件)以来の低水準となった。一方、負債総額は9%増の1902億200万円。負債総額100億円以上の大型倒産が今年最多の5件あったことが響いた。
(引用終わり)


2013年上半期(4〜9月)の倒産件数は、前年同期比9%減の大幅減とあったようです。
業種別にみると、TSRのプレスリリースによれば、減少件数546件のうち、建設業の減少件数が311件と全体の57%を占めており、倒産件数減少の大部分は建設業で説明がつきそうです。それに続く減少件数は、卸売業69件、不動産業56件、製造業51件なので、建設業の要因の大きさがわかります。
金融円滑化法に基づくリスケを受けた企業の倒産件数は250件と前年比倍増したようです。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 10:59| 日記
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