2013年09月13日

国費投入470億円、利息流出1200億円

「事故収束、国が踏み込む 東電には余裕なく 汚染水対策470億円投入」(日本経済新聞2013.9.4)

(記事一部引用)
 東京電力が福島第1原子力発電所の汚染水問題を収拾できない現状を踏まえ、政府は470億円に上る財政出動を決めた。政府は東電が責任を持つとしてきた事故の収束まで前面に出る構えだ。東電に任せてきた対応の行き詰まりを裏付けるとともに、原発の廃炉作業の支援を含めて国の関与の度合いを巡る議論も浮上してきた。
(引用終わり)


安倍総理がIOC総会でのオリンピック招致のスピーチで福島原発の汚染水はコントロール下にあると明言し、これが大きな後押しとなって2020年東京招致実現となりました。

今後は政府が前面に出て原発事故収束に取り組むこととなり、その一つとして、汚染水対策費用として470億円の財政出動が決まりました。

これまでも除染作業が進まないなど東電主体での事故収束がほとんど不可能なことは明白といえましたが、オリンピック招致という外圧が大きな契機となったはいえ、事実上国際公約となったこともあり、必要な国費支出もためらわずになんとしても汚染水をはじめ事故を収束させるという方針に国民の多くも異論はないところとみられます。

その一方、東電(連結)は、2013年3月期末時点で約8兆円の有利子負債を抱え、期中で1200億円の利息を支払っています。2012年3月期の支払利息が1299億円なので、わずかに減ってはいますが、銀行等はしっかりと利息収入を確保しています(単体ベースですが、期中金利は2012年3月期1.48%→2013年3月期1.47%とわずか0.01%の減)。

先日のNHKクローズアップ現代「汚染水クライシス」で東電の事故対応の責任者である副社長が「本当に苦しい」と率直に述べていた通り、東電には資金も人材も乏しく、事故処理の責任を果たしたくても十分にすることができない状況がうかがえましたが、そのような中で、本来ならば会社更生等の法的整理で大幅債権カットされても仕方のない銀行等が、債権カットどころか、巨額の利息までしっかりと取っている事実は、これを知らない多くの人々にとっては驚きをもって受け止められそうです。過去の原発建設等資金を出し責任の一端がある銀行等をさらに儲けさせる利息流出を事故処理費用に回すべきではないか、少なくとも国費投入の前にけじめをつけるべきではないか、電気料金の値上げは事故処理費用のためだと思っていたが、これほど巨額の利息流出が続き銀行等が儲けていたとは知らなかった、東電を批判の矢面に立たせながら裏で強欲な銀行等が笑っているなんて知らなかった、などという声があがりそうです。

現行の東電再建スキームはメインバンクのメガバンクが考案したもののようですが、これほどの事態になりながら、自行の利益だけはしっかりと確保できるというある意味見事な悪知恵といえますが、漫然これに騙された政府も非難(共犯的立場ならば言語道断)を浴びそうです。
posted by kinyu-bengoshi at 13:15| 日記

2013年09月10日

動産担保融資(ABL)向け在庫保険

「損保ジャパン、企業の動産に保険 担保融資後押し」(日本経済新聞2013.9.2)

(記事一部引用)
 損害保険ジャパンは9月にも、金融機関の動産担保融資(ABL)を受ける企業向けの保険の取り扱いを始める。在庫として持つ完成品や生産途中の製品が事故などで損害を受けた際、保管場所を問わずに保険金を支払う。日本動産鑑定(東京・中央)の時価評価を踏まえ保険金額を決める。保険で担保価値が保全されることになり、ABLを後押ししそうだ。
(引用終わり)


この新商品の保険の基本的な仕組み自体は、従来からある物流総合保険と取引信用保険と同様のようですが、対象動産の保管場所を問わない点と保険金額が鑑定会社の時価評価で決まる点が新しいようです。

通常の不動産(建物)担保融資における火災保険金質権の動産担保融資版ともいえますが、やはりABLの課題である対象動産の評価の点でひと工夫が必要で、本商品では鑑定会社を介在させることで対処するようです。

ただでさえ金利や手数料が高いABLが、保険会社や鑑定会社が介在するとさらにコスト高になるとみられ、それだけの負担に耐えうる企業は依然としてそう多くないといえそうです。

ABLが本格的に普及し、比較的規模の小さな中小・零細企業も広く利用できるようになるには、仕組みは簡便で低コストというのがポイントとなりそうです。


posted by kinyu-bengoshi at 17:34| 日記

2013年09月09日

【金融円滑化法】2013.8企業倒産

「8月の倒産件数、15.3%減 23年ぶり低水準」(日本経済新聞2013.9.9)

(記事引用)
 東京商工リサーチが9日に発表した8月の倒産件数は前年同月比15.3%減の819件だった。前年同月を下回るのは10カ月連続で、8月としてはバブル期の1990年(514件)以来、23年ぶりの低水準となった。景気が回復傾向にあることや、金融機関の中小企業向け貸し出しが伸びていることが背景にある。
 負債総額は23.2%減の1662億5900万円だった。負債10億円以上の大型倒産が今年最少の22件にとどまったことが影響した。
 業種別では、消費税の増税を控えた住宅の駆け込み需要の影響で、建設業の倒産件数が36.5%減少したほか、製造業も今年最少だった。
(引用終わり)


TSRのプレスリリースによれば、倒産減少の要因について、金融円滑化法の終了に対応した「中小企業金融モニタリング体制」や金融庁が4月30日に実施した「監督指針」改正などで低迷していた金融機関の中小企業向け貸出が増えつつあることも影響したとみられるとしています。

業種別では、建設業が36.5%減となったほか、製造業も21.1%減、卸売業も11.9%減のいずれも大幅減となったようです。

全体の減少件数は148社(前年同月967社→当月819社)ですが、このうち建設業の減少件数が102社(279社→177社)と全体の約7割を占めており、倒産件数の大幅な減少は、建設業の倒産件数の減少で大部分が説明がつくことになります。建設業の経営状況は公共工事と密接に関連しますので、公共工事の増加が建設業を下支えして倒産件数を抑制しているというのが、より直接的な要因とみることもできます。公共工事はカンフル剤であり、いずれは息切れするというのは歴史が繰り返しているとおり、これを本格的な景気回復とみるのは早計といえそうです。今後の東京オリンピック特需もあいまって公共工事増加傾向は続くともみられますが、財政難に拍車がかかる中、いかに早く自律的な経済回復につなげていくかが重要といえます。

なお、金融円滑化法を利用してリスケ等を受けた企業の倒産件数は、今年最少の23件(前年同月19件)となったようです。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 22:57| 日記
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