2013年06月10日

【金融円滑化法】2013.5企業倒産

「企業倒産件数、5月8.9%減 7カ月連続の減少」(日本経済新聞2013.6.10)

(記事引用)
 企業倒産の減少が続いている。東京商工リサーチの発表によると、5月の倒産件数は前年同月比8.9%減の1045件だった。減少は7カ月連続。中小企業金融円滑化法が3月末で終了したが、金融機関が企業からの返済猶予の要請に引き続き応じているためだ。しかし足元では円安による燃料費上昇の影響が出始めるなど、倒産が増加する動きも見られる。
 倒産件数は今年に入って初めて1000件を超えたが、5月の数字としては過去20年間で2010年の1021件に次ぐ低水準だ。円滑化法の終了後も「金融機関が貸出姿勢を硬化した事例は見られない」(東京商工リサーチの友田信男取締役)とされ、倒産件数の抑制につながっている。
 一方、一部では増加の動きが出ている。産業別では、運輸業の倒産件数が円安による燃料費上昇の影響で前年同月比24.3%増の51件となった。また、円滑化法の適用を受けたものの倒産に至った企業の件数も前年同月比2倍超の55件となり、4カ月連続で最多を更新した。
 負債総額は前年同月比38.6%減の1733億3000万円だった。負債100億円以上の大型倒産が減少した。
(引用終わり)


5月も倒産抑制傾向が続いたようです。

業種別でみると、同社プレスリリースによれば、運輸業が今年最多の51件(前年同月比24.3%増)と特徴的な動きを見せたようです。母数自体が少ないので何とも言えませんが、円安による燃料価格上昇も影響したのかもしれません。

なお、5月の金融円滑化法利用企業の倒産件数は55件となり、6月3日同社プレスリリースの44件(【金融円滑化法】利用企業の倒産2013.5)から修正されたようです。

事例紹介では、給油所等経営の企業が、長年の粉飾決算の末、社長が行方不明になって債権者が破産を申し立てたという事案が紹介されています。同社は資本金4800万円、負債総額38億円で、不動産売却による事業改善計画を策定して元本リスケを要請し、バンクミーティングも予定していたということですから、中小企業の中では比較的大きめの企業であったとみられます。粉飾は、売上水増しや過小原価により架空利益を累計10億円計上し、社長宛て貸付金1億9600万円を売掛金や前払金とするというものだったようで、これを見る限りでは大胆な部類に入るといえそうです。

粉飾決算がただちに倒産に結びつくわけではないですが、あまりに大胆悪質だと金融機関がそれにより支援を打ち切り、結果的に倒産の引き金となることはあります。

先日、「「コンプラ違反倒産」過去最高200件 昨年度…法令順守、高まる機運」(産経新聞2013.6.9)という記事が出ました。
帝国データバンクの調査によれば、平成24年度にコンプライアンス(法令順守)違反が原因で倒産した企業が過去最高の200件(前年比26%増)に上ったというものです。違反の内訳は、「業法違反」が60件でトップで、「粉飾決算」が57件、「資金使途不正」が25件と続いたようです。

金融機関は、単に取引先企業が業績が悪いくらいであれば辛抱してくれますが、こうした違法・脱法行為については神経質で、支援打ち切りへのハードルは下がります。
粉飾決算などのコンプラ違反もその遠因は経営の窮境にあることが多いと思われますので、倒産の引き金がコンプラ違反だったとしても、真の原因はこれまでの長引く不況による厳しい事業環境にあるといえそうです。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 22:24| 日記

2013年06月04日

【金融円滑化法】リスケ先企業向け無担保融資

「中国銀、返済条件変更の中小に無担保融資」(日本経済新聞2013.6.4)

(記事引用)
 中国銀行は3日、3月末に終了した中小企業金融円滑化法に基づき返済条件を変更した取引先を対象に新たな融資商品を取り扱い始めた。100万〜3000万円を限度に無担保で各支店長の決裁で貸し付ける。返済期限の延長などに応じた取引先への無担保ローンは珍しい。迅速な融資判断で中小企業の経営改善を後押しする。
 新設した無担保ローンは「ちゅうぎんVサポートローン」という名称。経営改善に取り組む中小企業に運転資金や設備資金を融資する。
 融資期間は1年以内の据え置き期間を含め、運転資金で7年以内、設備資金で10年以内と、通常より長めに設定した。利率は取引先ごとに異なるが、従来より低利になるという。
 これまで中国銀では条件変更先への融資は担当する支店と本部との協議が必要だった。新ローンは各支店長に融資の判断を任せる。「現場の資金ニーズにスピーディーに対応できるようになる」(融資部)。
 中国銀では昨年4月に融資先企業の経営支援強化に向けた部門横断チームを設置。約130の支店に再生支援担当者を配置するなど取引先の経営改善に力を入れている。
(引用終わり)


有力地銀の中国銀行が金融円滑化法によるリスケ支援先企業への無担保融資に取り組むようです。
記事によれば無保証とはされていないので、さすがに無担保無保証人ではないようにみえます。
それでも、2013年3月期決算で地銀・第二地銀全体で不良債権処理にかかる実質与信費用(引当金)を大幅に増加させるなど(日本経済新聞2013.6.3によれば前期比33%増)、金融円滑化法終了後の倒産増、貸し倒れ増が懸念されている中で、意欲的な取り組みといえそうです。
金融担当副大臣が3日地銀に対し円滑化法による支援先にも新規融資を行うよう要請したのと軌を一にしていますが、銀行にとってはかなりのリスクマネー供給といえ、他の銀行も追随するか注目されます。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 10:11| 日記

2013年06月03日

【金融円滑化法】利用企業の倒産2013.5

「円滑化法適用企業の倒産が最多更新 5月、9割増の44件」(日本経済新聞2013.6.3)

(記事引用)
 東京商工リサーチによると、中小企業金融円滑化法の適用を受けた企業の倒産件数が5月は前年同月比9割増の44件と単月で過去最多になった。4カ月連続で最多を更新した。融資条件を変更しても、業績不振から抜け出せず事業継続を断念する企業が増えている。
 円滑化法は3月末に期限切れを迎えた。円滑化法とは無関係の企業も含めた全体の倒産件数は低水準で、4月は前年同月比10.4%減の899件と、22年ぶりに900件を割り込んだ。
 東京商工リサーチの友田信男取締役は「円滑化法で資金繰りが改善された間に売り上げを回復できた企業と、延命にすぎなかった企業との間で二極化の傾向が出てきた」と指摘している。
 負債総額は前年同月比65.6%増の209億3200万円だった。10億円以上の大型倒産が増えた。
(引用終わり)


東京商工リサーチ(TSR)のプレスリリースによれば、2013年5月の金融円滑化法に基づく貸付条件変更利用後の企業倒産は44件(前年同月23件)で、4月の41件を上回り単月最多となり、4カ月連続で最多を更新しているようです。
もっとも、前々月3月比では5件増、前月4月比では3件増にとどまっており、3月末を境に円滑化法利用企業の倒産が急増しているという状況ではなさそうです。

業種別では、製造業が16件(前年同月4件)で、3月と4月の12件を上回り今年最多となったようです。次いで、建設業8件(同5件)、卸売業8件(同8件)、小売業7件(同2件)の順となったようです。

また、2013年1〜5月累計の円滑化法利用企業の倒産件数185件のうち、倒産形態は破産が122件(構成比65.9%)と最も多く、民事再生はわずか9件(同5%)にとどまっているようです。円滑化法で返済猶予を受けている企業が倒産するということはもはやキャッシュフローを生み出すことができなくなっている状況ですので、民事再生による再建も困難であり、多くが破産になるのはやむを得ないといえます。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 23:58| 日記
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