2013年03月28日

【金融円滑化法】終了に伴う金融庁施策

「円滑化法終了に合わせ、金融検査指針を改訂」(読売新聞2013.3.21)

(記事引用)
金融庁は21日、中小企業の資金繰りを支援する中小企業金融円滑化法が今月末に終了するのに合わせ、4月から金融機関に対する検査や監督の指針を改めると発表した。
円滑化法終了後も、借り手から申し出があれば、利子の減免など貸し付け条件の変更にできるだけ応じることを求めた。
円滑化法終了後の大きな課題である中小企業の経営改善については、金融機関が最大限支援することを明記した。また、関連する府省令を改正し、金融機関は中小企業支援の取り組み状況を公表することにした。
(引用終わり)


金融庁プレスリリースによれば、施策の目的は、中小企業金融円滑化法の期限到来後も金融機関が、(1)貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるとともに、(2)中小企業等に対する経営支援に積極的に取り組むよう促すためであるとしています。
具体的には、金融検査マニュアル、監督指針、府省令を改正し、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めること、他の金融機関等と連携し、貸付条件の変更等に努めること、中小企業・小規模事業者の経営改善を最大限支援することなどを明記し、中小企業・小規模事業者の経営支援に関する取組方針・態勢整備・取組状況、地域の活性化に関する取組状況を公表すべきこととしています(この開示義務のところは以前当ニュース解説・コラムの【金融円滑化法】中小企業再生の開示義務でも触れました)。

こうした施策は金融円滑化法のような法的拘束力に基づくものではありませんが、金融庁の検査・監督行政として事実上一定の拘束力があるといえます。政策面では、円滑化法終了の影響を緩和する措置が取られたといえますが、あとは、金融機関の側がどこまで取引先企業を支えられるかという実質的な体力のところにかかってきます。

金融検査マニュアルや監督指針については弊事務所HPの金融検査マニュアル・自己査定に、中小企業金融円滑化法については中小企業金融円滑化法にて詳しく説明しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 12:41| 日記

2013年03月26日

中小・ベンチャー企業向け無担保無保証融資

「経営者の保証不要 商工中金が新融資、再起しやすく」(日本経済新聞2013.3.26)

商工組合中央金庫は4月から、担保も経営者の保証も求めない融資制度を大幅に拡充するとのことです。大企業から分離・独立(スピンオフ)したベンチャー企業や、環境や医療など成長分野に取り組む中小企業が対象で、起業や新事業に失敗しても再チャレンジしやすい環境を整えるようです。5年間で1兆円の融資をめざすとしています。


商工中金は、商工組合中央金庫法に基づき中小企業金融を担う目的で設立された半官半民の政府系金融機関です。預金や債券発行により調達した資金を原資に主に中小企業に対する融資を行っています。政府出資の入った政府系金融機関なので、政府の中小企業政策に沿って業務を展開しますが、今回の中小ベンチャー企業向け無担保無保証融資もその一環かと思われます。商工中金のプレスリリースがないので正確なところはわかりませんが、記事によれば、ベンチャー企業がこの融資を受けるには、経済産業省がつくる専門家チームから事業計画の立案で助言を受けることが条件になるようです。融資期間は運転資金向けで10年以内、設備資金向けで15年以内で、経営者本人の保証をつけない場合は、正確な財務諸表を期日通りに提出することなどを融資前に誓約するようです。利率は企業の信用力や貸付期間で異なるが、経営者本人の保証をつけてもつけなくても変わらないようにするとしています。

中小・ベンチャー企業向けの無担保無保証融資は、ニーズは高いものの資金の出し手がいないまさにリスクマネーであり、長年の課題とされつつ民間金融機関では対応しづらかった領域です。高い回収不能リスクを負ってでも中小・ベンチャー企業の成長を促す資金供給を確保するという政策要請あってのものといえます。融資期間最大10〜15年ということでかなりのハイリスクといえますが、5年間で1兆円という野心的な目標となるようです。

なお、経営者保証の制度見直しの新ガイドライン(指針)については、当ニュース解説・コラムの経営者保証新ガイドライン(指針)を、第三者保証を無効とする民法改正中間試案については、民法改正中間試案(個人保証)を適宜ご参照ください。

また、保証一般については、弊事務所HPのQ&A金融機関取引の基本 保証編も適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 21:19| 日記

2013年03月21日

経営者保証新ガイドライン(指針)

「経営者保証:全財産没収防止へ 政府新指針、再起促す狙い」(毎日新聞2013.3.19)

中小企業が借り入れをする際に社長自身が連帯保証人となる「経営者保証」で、政府は経営者の全財産が没収されることを防ぐルールを新設する方針を固めたとのことです。会社が行き詰まっても当面の生活を支えて再起を促すのが狙いで、中小企業庁と金融庁の研究会が近くまとめる報告書に盛り込み、銀行や貸金業者に一定の拘束力を持つガイドライン(指針)作りを目指すようです。


中小企業庁と金融庁は「中小企業における個人保証等の在り方研究会」を設置し、今年1月からこの問題について議論していましたが、近く報告書がまとめられるようです。
研究会の検討課題は、
(1)個人保証の「契約時」における課題
@個人保証の必要性(代替方法の活用促進)
A根保証金額の極小化
B企業のライフステージに応じた保証の在り方
(2)個人保証の「契約後(再生局面)」における課題
@経営者責任の在り方
A保証債務の履行の範囲
B税務上の課題(無税償却の適用)
C残存保証債務の処理
D債権者間の調整
E法人債務との一体処理
(3)各課題の検討内容を踏まえた政策的出口の方向性
とされていました(中小企業庁HP)。

民法改正中間試案で示された第三者個人保証(当ニュース解説・コラムの民法改正中間試案(個人保証)を適宜ご参照ください)と異なり、経営者保証を法的に無効にするということにはなりませんが、制度見直しの具体策として、経営者の自宅を没収対象としないことや、手元に400万円弱の現金を残せることなどの案が出ているようです。
こうした案を盛り込む新ガイドライン(指針)には法的拘束力はなく、また記事も指摘する通り金融機関側は「可能な限りの財産を回収しないと、株主に職務怠慢と批判されかねない」と強く抵抗するなど、債権者と債務者の利害が鋭く対立する部分ですので、難しい課題だといえます。

なお、保証については、弊事務所HPのQ&A金融機関取引の基本 保証編も適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 12:34| 日記
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