2013年02月14日

【金融円滑化法】地方中小企業再生ファンド

「再生ファンド1000億円超 中小向け、12年度高水準 円滑化法終了控え」(日本経済新聞2013.2.13)

地方の中小企業を対象とした企業再生ファンドが2012年度は1月末までに700億円新規設定され、3月末までに約300億円が追加される予定で合計1000億円を超える見通しで、2005年度以来7年ぶりの高水準とのことです。中小企業金融円滑化法が3月末で終了するのを控え、地域金融機関が事業再生の請負会社などと共同でファンドを設立しており、対象地域は30都道府県を超える見通しのようです。リサ・パートナーズは宮崎県や新潟県などで13のファンドを運営し、3月末までにさらに7つのファンドを設立する予定、ニューホライズンキャピタルは3月末までに150億円の資金を集める計画としています。記事では、主なファンドとして、北洋銀行とジェイ・ウィル・パートナーズによる北洋中小企業再生、中小機構や茨城県信用保証協会による茨城いきいき2号、リサ・パートナーズによる新潟事業再生、あおぞら銀行によるやまなし事業再生、広島銀行によるせとみらい、が紹介されています。


これらのファンドは主として債権買取型ですので、買取対象債権の簿価が買取額の数倍から数十倍とみると、これらのファンドが設定額いっぱいの債権買取をすれば数字上数千億円〜数兆円規模の地銀の不良債権の切り離しが進むことになります。
これに加えて、今回の緊急経済対策で企業再生支援機構から新組織に移行する官製再生ファンドの地域経済活性化支援機構も2013年度以降地域金融機関と共同で総額2000億円規模の再生ファンドを設立するとの報道もあります(日本経済新聞2013.2.4)。もっとも、2012年度補正予算において同機構設立のための出資金30億円が計上されており、同記事ではこれを元手に1ファンドあたり1〜2%分出資して民間資金の呼び水となって総額2000億円規模に育てるとしていますが、これはさすがに無理があるといえそうです。また、同記事では同機構の出融資枠を2013年度に1兆円規模に拡大するとも報じていますが、その原資の出どころや財源措置は判然としません(記事は政府保証枠の拡大としていますが、既存の企業再生支援機構はすでに約1兆7000億円の政府保証枠を得ています)。
これらに既存の民間再生ファンドも加えた形で、不良債権処理が進んだ数年前のようなファンド乱立状態になりファンド間の案件争奪が行われることも予想されます。再生案件はなかなか計算通りにマーケットに出てこないので、数年前同様、案件枯渇の末撤退・解散するファンドも出てくることも予想されます。
なお、3メガバンクが2010年に設立した企業再生ファンド(総額最大1000億円)の支援案件はこれまで4件と伸び悩んでいるようです(日本経済新聞2013.2.2)。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 15:19| 日記

2013年02月09日

【金融円滑化法】2013.1企業倒産

「倒産件数 政策効果で1月5.1%減」(日本経済新聞2013.2.9)

東京商工リサーチが8日発表した1月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は前年同月比5.1%減の934件で3か月連続で前年同月比減となったとのことで、中小企業金融円滑化法などの政策効果で倒産が抑えられたとしています。負債総額は35.7%減の2246億1500万円だったようです。


同社HPによると、1月の倒産件数及び負債総額は過去20年間で最少だったとのことです。本記事にもあるとおり、中小企業金融円滑化法などの各種金融支援効果で倒産が抑制されているとしています。
もっとも、金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産は最近1年間で3番目に多い25件となったようです。この倒産件数は2012年10月から4か月連続で前年同月を上回っており、金融支援効果が薄らいできていることを示しているようです。
また、同社HPでは2012年休廃業・解散企業動向調査も発表しています。これによれば、2012年の休廃業・解散件数は2万7132件に達し、2003年以降の過去10年間で最多で、2012年の倒産件数の2.2倍に達したようです。休廃業・解散は、資産が負債を上回る資産超過の状態である点で倒産と区別されますが、倒産件数だけでははかりきれない企業を取り巻く事業環境の厳しさを示すデータであるといえます。

金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 14:00| 日記

2013年02月06日

【金融円滑化法】動産・売掛金担保評価新基準

「動産・売掛金の担保評価、不動産と同等以上に 金融庁が新基準」(日本経済新聞WEB刊2013.2.5)

金融庁は5日、企業が保有する在庫などの動産や売掛金を担保とする融資を増やすため、金融機関が不動産と同等以上の評価ができるよう資産査定の基準を見直すと発表したようです。今年3月末に中小企業金融円滑化法が期限切れとなるため、不動産以外の担保で中小企業が資金を調達しやすくするためで、具体的には、3月中に金融検査マニュアルを見直し、動産は不動産と同じ70%、回収しやすい売掛金は80%と明記するようとのことです。


在庫などの動産や売掛金を担保とする融資手法は、ABL(Asset Based Lending)と呼ばれています。金融機関融資の主流である不動産担保融資に対するもので、担保となる不動産を所有していない中小企業でも資金調達がしやすいよう比較的最近開発された融資手法です。特に、金融円滑化法の適用による返済猶予を受け、経営改善や事業再生を必要とする中小企業ほど担保余力ある不動産がなくABLによる資金調達のニーズが高いといえます。金融庁も金融円滑化法終了後の出口戦略の1つとして、資本性借入金とともにABLの活用を促しています。
他方、金融庁も「ABL(動産・売掛金担保融資)の積極的活用について」(金融庁HP2013.2.5)で指摘するとおり、我が国企業の保有資産のうち在庫・売掛金は合わせて297兆円と土地186兆円を上回るのに、地域金融機関の融資の担保の9割超が不動産担保であるなど、ABLはあまり普及していないといえます。
金融機関側からみて、日々流動する在庫や売掛金を的確に担保管理することや換価処分の難しさなどがABLがなかなか普及していない理由といえます。
そうした中で今回金融庁は、金融検査マニュアルや同マニュアルのFAQを改定することによりABLの活用を後押ししようとしています。具体的には、在庫・売掛金担保がいわゆる一般担保として扱われるための要件の明確化、自己査定基準における担保掛目の明確化(動産は70%、売掛金は80%)、ABLにより貸出条件緩和債権に該当しない場合の明確化、などです。これらの措置は、ABL融資債権の債権分類や引当における予測可能性を高め、金融機関がABLに積極的に取り組みやすい環境を整備するものといえます(金融検査マニュアル、自己査定、貸出条件緩和債権、債権分類、引当などについては、弊事務所HPの金融検査マニュアル・自己査定で説明しておりますので適宜ご参照いただければと思います)。
もっとも、上記のような担保管理や換価処分の難しさの点についてはこれまでと変わるものではありませんので、結局は金融機関自身の取り組み方にかかってくるところが大きいといえます。

なお、金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 18:38| 日記
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