2013年01月29日

2013年度中小企業対策予算

「政府、13年度予算案を閣議決定 7年ぶり減額 歳出総額92兆6115億円」(日本経済新聞WEB刊2013.1.29)

政府は29日午後の臨時閣議で2013年度予算案を決め、一般会計の歳出総額は92兆6115億円で、予算規模としては12年度予算比3066億円の減額予算となり、前年度比減額予算は06年度以来7年ぶりとのことです。地方公務員の給与削減で地方交付税交付金等を減らすほか、生活保護の見直しに乗り出すようです。その半面、東日本大震災の被災地復興や道路、河川の安全確保といった防災対策、省エネ、再生エネルギーの研究開発支援などには重点配分したようです。
財務省HPによれば、具体的な内訳は、国債の償還や利払いを除く政策経費70兆3700億円のうち、社会保障関係費29兆1224億円(+10.4%)、地方交付税交付金等16兆3927億円(▲1.2%)、公共事業関係費5兆2853億円(+15.6%)、文教及び科学技術振興費5兆3687億円(▲0.8%)、防衛関係費4兆7538億円(+0.8%)などとなっております。


予算は国家運営そのものといってよく、国民の生活にも直結する極めて重要なものであることは言うまでもありません。
それでもその編成手続については意外と知られていないところもあるかと思いますので、少し触れてみたいと思います。
予算については、憲法上、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」(憲法86条)と規定されており、この規定に従って毎年予算編成が行われます。
具体的には、8月末までに各省庁から財務省に対し次年度予算の概算要求がなされます。その後財務省主計局による査定を経て、12月末に次年度政府予算案が閣議決定されます。そして、翌年1月に召集される通常国会に予算案が提出され、衆参両院での審議を経て、3月末までに可決成立し、4月1日から執行されます。
以上が通常の場合のスケジュールですが、今回は政権交代もあったため変則的になり、この時期での概算要求とりまとめ及び政府予算案の閣議決定となったものです。
国会での成立要件ですが、法律案は、衆参両院で可決したときに法律となりますが(同法59条1項。なお参議院で否決された場合の衆議院での再可決も可(同条2項))、予算はこれとは異なる手当てがなされています。すなわち、予算は先に衆議院に提出しなければならず(同法60条1項)、参議院で衆議院と異なった議決をした場合や参議院が30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となります(同条2項)。これを予算審議に関する衆議院の優越といい、参議院で与党が過半数割れしているいわゆるねじれ国会の下でも、政府与党は予算については確実に成立させることができます。もっとも、予算執行のために法整備を伴う場合があり、これは法律案(赤字国債法や特例公債法などと呼ばれています)なので原則通り衆参両院での可決が必要となります。同法案は毎年のように政局の火種となっていましたが、昨年、自民、民主、公明の3党間で、2015年度までは同法案については賛成して成立させるという合意がなされたようです。

ところで、2013年度予算案のうち、中小企業対策費は1811億円(+0.5%)と上記の他の項目に比べるとごくわずかです。もっとも、中小企業政策は補助金のような予算措置でなされるよりもファイナンスの政策である財政投融資の方が規模が大きく、2013年度財政投融資計画としては、中小企業・小規模事業者向け業務として事業規模5.9兆円、財政投融資4.1兆円が確保されています。具体的には、日本政策金融公庫を通じて、中小企業・小規模事業者向けに資金の貸付が行われることになります。制度としては、経営支援型セーフティネット貸付、中小企業経営力強化資金、資本性劣後ローンなどが措置されているようです(財政投融資については、当ニュース解説・コラムの緊急経済対策・劣後ローン官民ファンドゆうちょ銀行の企業融資でも触れていますので適宜ご参照ください)。
なお、上記の予算1811億円の方の内訳は、経営支援・資金繰り支援として日本政策金融公庫向け出資金597億円(+0.7%)、同公庫向け補給金253.1億円(+1.5%)のほか、ものづくり中小企業連携支援事業118.7億円(+7.1%)、中小企業・小規模事業者ビジネス創造等支援事業48億円(新規)、中小企業海外展開総合支援事業31.5億円(新規)、課題解決型医療機器等開発事業30.5億円(+21.9%)、小規模企業活性化事業30億円(新規)、消費税転嫁状況監視検査体制強化等事業19.8億円(新規)、下請中小企業・小規模事業者自立化支援事業7億円(新規)などとなっています。
なお、このほかに復興特別会計においても中小企業対策費1152億円が計上されています。
posted by kinyu-bengoshi at 23:24| 日記

2013年01月28日

【金融円滑化法】返済猶予後の中小企業

「検証・金融円滑化法 返済猶予で何が?」(NHKクローズアップ現代2013.1.28)

金融円滑化法により返済猶予を受けた中小企業の現状について検証しています。
NHKが全国132の地銀・主要信金に取材をしたところ、回答があった84金融機関によれば、これら中小企業の経営改善について、改善が進んだ15%、進んでいない60%、分からない25%という結果だったようです。
また、2012年の円滑化法適用企業の倒産件数は249件と前年比約6割増となったようですが、調査会社によれば、これは氷山の一角で実際はこの10倍以上はあるだろうとのことでした。
その他、円滑化法適用による返済猶予後に破産した中小企業やコンサルティング機能強化に取り組む信用金庫の例などが紹介されていました。


番組の検証結果は、おおむね予想通りの内容であったといえます。
これほどまでに長期間にわたり景気が冷え込んで経済全体が収縮している中で、資金繰り難となっていた中小企業が経営改善に転ずることは至難の業と言えます。円滑化法自体も、返済猶予(リスケ)により資金繰りを楽にして時間を稼ぎ、その間に景気が回復して中小企業の経営も改善することを期待するというものであったといえますから、この現状を中小企業や金融機関の責任に帰することは難しいといえます。
個々の金融機関等のコンサルティング機能も重要ですが、何よりも経済全体が回復しなければ中小企業の本格的な経営改善は難しいと言わざるを得ず、国の経済政策にかかる部分が大きいと言えます。

なお、金融円滑化法終了の影響や事業再生などにつきましては、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法事業再生Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編なども適宜ご参照いただければと思います。
posted by kinyu-bengoshi at 22:40| 日記

2013年01月22日

2012年主要経済指標

「百貨店売上高16年ぶり増 昨年の既存店12月は1.3%減」(日本経済新聞2013.1.18)
「不動産売買 4年ぶり高水準 REITけん引 1兆円購入、最大の買い手」(日本経済新聞2013.1.21)
「コンビニ既存店 昨年0.3%減収 競争激化/たばこ不振」(日本経済新聞2013.1.22)
「マンション発売 首都圏は横ばい 昨年の戸数、後半失速」(日本経済新聞2013.1.22)
「工作機械受注額8.6%減 昨年、3年ぶりマイナス」(日本経済新聞2013.1.22)
「12年の全国スーパー売上高、前年比1.9%減 16年連続マイナス」(日本経済新聞WEB刊2013.1.22)


2012年の主要な経済指標の実績値が続々と発表されています。

まず注目されたのは百貨店の既存店売上高です。百貨店はスーパーに小売業トップの座を追われて久しく、その後も一貫して売上高の減少、市場の縮小が続き、既存店売上高はこのままプラスに転じることはないのではないかとさえ思われていましたが、2012年は0.3%の微増ではありますがプラスに転じたようです。前年の東日本大震災後の消費自粛の反動が大きく、内訳でみると、不振が続いていた衣料品がプラスに転じたほか(+0.6%)、化粧品(+2.5%)、美術・宝飾・貴金属などの高額品(+3.4%)が高い伸びを示しているようです。もっとも、2012年12月でみると衣料品が11月の気温低下による冬物商品の需要先食いの影響でマイナスとなるなど、これだけではまだ本格的な消費マインドの改善を示すものとは言いにくいといえます。なお、全店ベースの通年売上高は店舗閉鎖などにより前年比0.1%減で15年連続の前年比減のようです。2013年は、2011年にJR大阪三越伊勢丹の出店や大丸梅田店の増床があった大阪で、2012年11月に大幅増床して全面開業した阪急うめだ本店の通年寄与があるほか、2014年以降も近鉄百貨店阿倍野店の大幅増床や阪神百貨店梅田本店も建て替えをする模様など、大規模な投資競争が続き、今後も注目されます。

スーパーの売上高は全店・既存店とも前年比減(全店▲1.3%、既存店▲1.9%)だったようです。
全国チェーンストア協会の発表によれば、既存店売上高前年比の内訳は、食品▲2.0%、衣料品▲1.7%、住関連▲1.9%となっています。こちらは百貨店と異なり、東日本大震災後の消費自粛の反動増の効果はさほど見られなかったといえそうです。小売店の既存店売上高前年比はなかなかプラスにならないですが、こちらは16年連続のマイナスです。
コンビニはほぼ横ばいといえそうです。

不動産は、不動産投資信託(REIT)の購入が5割増の1兆円強となるなど(REITについては、当ニュース解説・コラムの不動産投資信託(REIT)も適宜ご参照ください)、2012年の取引額が前年比14%増(2兆1700億円)の大幅増となり、底入れ感を示しているといえます。

景気の先行指標とされる機械受注額は、2012年は前年比8.6%減となり、3年ぶりの前年割れとなったようです。国内の設備投資の低迷のほか、中国の需要拡大のペースが鈍ったことが響いたとされています。

足元では安倍政権の経済政策に対する期待感から円安、株高が進んでいますが、本物の経済再生となるかどうかはこれからといえます。
posted by kinyu-bengoshi at 21:03| 日記
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