2012年12月25日

【金融円滑化法】実質延長か

「円滑化法の迷走 延命策温存 地域再生遠く 返済猶予 実行率98% 報告義務、実績作り優先に」(日本経済新聞2012.12.25)

10月末、地方財務局長から全国の金融機関に「代表者限り」と書かれた電子メールが届いたとのことです。そこには、「円滑化法の期限到来を控え貸し渋りや貸し剥がしともとられかねない事案が増えているとの苦情が寄せられている」として中小企業への配慮を求める金融庁の指示が記されていたようです。また、「金融検査・監督の目標は、円滑化法の期限到来後もこれまでと何ら変わらないので、貸出条件の変更等に努めて頂きたい」ともされていたようです。これを受け取った金融機関は、円滑化法の実質延長かと戸惑いが広がったとしています。
さらに、11月27日に金融庁が開いた民間金融機関との意見交換会では、信金業界の代表からの「円滑化法の期限切れ後は報告義務をなくしてほしい」との訴えに対し、金融庁は難色を示したとしています。


地方財務局長(金融庁)からの電子メールの内容とは、その時期と記事が指摘する内容から見て、11月1日午前に開かれた全国財務局長会議とその後の金融担当大臣談話と同様の内容のものと推測されます(これらにつきましては当ニュース解説・コラムの【金融円滑化法】恒久措置で触れておりますので適宜ご参照いただければと思います)。
また、記事は11月27日の金融庁の意見交換会でのやりとりについても記載しています(これについても当ニュース解説・コラムの【金融円滑化法】金融庁意見交換会で触れております)。
これらの事実を勘案すると、金融庁は金融円滑化法を来年3月末に廃止しながらも、実質的な延長を図っていると読み取れます。
表向きは法律を廃止しながら実質的には延長などということは通常では考えられないところですが、金融業界における金融庁と金融機関の関係のあり方からすれば十分に考えられるところです(こうした関係などについては弊事務所HPの金融検査マニュアル・自己査定に詳しく記載しておりますので適宜ご参照ください)。
金融機関のリスケ審査における実質的判断において最も重要な貸出条件緩和債権ないし要管理先の判定基準等は、金融円滑化法期限切れ後も生き続ける金融検査マニュアル上の恒久措置ですので、金融円滑化法特有の措置としてこれまでの100%近いリスケ実行率を支えているものは、金融庁への報告義務が中心であるといえます。記事によれば、金融庁は同法終了後もこの報告義務を残そうとしているようで、もしそうなるとすると、金融円滑化法はまさに実質延長といえそうです。
景気回復、プラスの経済成長は消費増税の実質的な前提条件である上、政権交代で景気上向き期待が高まる中で、円滑化法終了によって中小企業の倒産が増えてこうした動きに水を差す引き金を引きたくないという思いの表れと見るのが素直な見方といえそうです。
それにとどまらず、新政権にとって来夏の参議院選挙前のさらなる景気悪化は許されないという状況下においては、円滑化法も実質延長どころか本当に延長(三度目の延長)ということも可能性としてはゼロではないともいえそうです。

金融円滑化法については弊事務所HPの中小企業金融円滑化法にて詳しく説明しておりますので、適宜ご参照ください。
posted by kinyu-bengoshi at 20:44| 日記

2012年12月24日

【金融円滑化法】都内地銀の官民ファンド

「官民の中小再生ファンド」(日本経済新聞2012.12.24)

東京都民銀行など都内の地域金融機関と独立行政法人中小企業基盤整備機構が月内に官民型の中小企業再生ファンドを立ち上げるとのことです。総額25億円のうち機構が半分を出資し、残りは都民銀、八千代銀行、東京スター銀行のほか、7つの信用金庫と新銀行東京が出資し、ファンドはリサ・パートナーズが運営するようです。
来年3月末の中小企業金融円滑化法の期限切れを見据え、中小企業向け貸出債権の買い取りや出資をして経営再建につなげるとのことです。数千万円から数億円程度の支援が必要な中小企業の再生を支援するようです。


金融円滑化法の出口戦略に沿ったものとして各地の地銀が同様の中小企業再生ファンドを組成していますが、本件もその一事例といえます。
本件は、ファンド総額25億円に対し、各金融機関が1件数千万円〜数億円の案件を持ち込むようですので、ファンドの支援を受けられる企業は数件〜多くても20数件程度ということになりそうです。
(記事にいう数千万円から数億円規模というのが、ファンドからの投資額を言うのではなく、既存債権残高を言うのであれば、案件数はもっと増えてきます)
再生ファンドへの売却による事業再生などについては、弊事務所HPのQ&A 金融機関取引の基本 融資編Q8Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編や当ニュース解説・コラムの【金融円滑化法】地銀の不良債権処理【金融円滑化法】地銀債権のファンド売却などを適宜ご参照ください。
また、金融円滑化法については、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法にて詳しく説明しております。
posted by kinyu-bengoshi at 17:36| 日記

2012年12月20日

【金融円滑化法】地銀債権のファンド売却

「新潟の地銀3行など、事業再生ファンドと協定」(日本経済新聞WEB刊2012.12.20)

新潟県内の第四銀行、北越銀行、大光銀行の県内地銀3行などが投資ファンドを活用した中小企業の再生策に取り組むことが19日分かったとのことです。来年3月の中小企業金融円滑化法終了が迫る中、過剰債務企業向けの債権をファンドに売却し再生を進め、外部機関と連携した取引先企業の事業立て直しを急ぐとしています。
具体的には、上記各銀行が再生ファンド運営で実績のあるリサ・パートナーズとルネッサンスファイブの2社と協定を結び、これらのファンドを活用するもので、各銀行からの出資はしないようです。銀行がファンドに債権を売却し、ファンドで債務処理や不採算事業のリストラをし、事業再生後は債権を買い戻すことなどを検討しているようです。上記地銀3行のほか、新潟信用金庫、三条信用金庫、柏崎信用金庫、新潟県信用組合など県内の信金・信組も協定締結を進めているもようのようです。
また記事では、地銀などが出資してファンドを設立・運営する事例に比べ、本件のような外部の運営会社のファンドを活用することで、運営コストを抑制し効率的な企業再生を目指すものと指摘しています。


各地銀や再生ファンド運営会社の公式発表がないので詳細は不明ですが、記事によれば、地銀はファンドに出資しないようですので、本件スキームは外見だけ見れば、ファンドへの売り切りによる債権売却というシンプルなもののように見えます。
地銀とファンド運営会社の間の協定の内容によりますが、地銀が取引先企業の再生にコミットする度合いが比較的ゆるやかなスキームの印象があります。

こうした再生ファンドへの売却による事業再生などについては、弊事務所HPのQ&A 金融機関取引の基本 融資編Q8Q&A 金融機関取引の基本 事業再生・倒産編や当ニュース解説・コラムの【金融円滑化法】地銀の不良債権処理などを適宜ご参照ください。
また、金融円滑化法については、弊事務所HPの中小企業金融円滑化法にて詳しく説明しております。
posted by kinyu-bengoshi at 18:22| 日記
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